Alpha Vest チタンコーティング剥離と色移り問題の検証

2021.10.29

10月15日に発売した弊社製品 Alpha Vest 背面生地のチタンコーティングが剥離し、色移りによる黒ずみが発生している問題につきまして、購入されたお客様にはご心配をおかけしております。

色移りはどのような状態や生地との間で発生しやすいのか、また洗濯等でどれだけ色移りを落とすことができるのか、検証の結果をご報告いたします。

また記事末尾に記載した返品等の対応につきましても、ぜひご確認をお願いいたします。

検証の概要と結果

Alpha Vestと組み合わせて着用することが想定される山と道及び他社製品の生地素材を、乾いた状態と汗等で湿っていることが想定される実際の使用状況に即した湿った状態、双方で強く擦り合わせ、チタンコーティングの剥離による色移りの検証を行いました。

さらにその後、付着したチタンの落ちやすさを検証するため、洗濯を行いました。洗濯は、ぬるま湯(38℃程度)に中性洗剤を適量入れて馴染ませ、テスト生地をしばらく漬け置きしたのち揉み洗いし、揉み洗いで落ちない色移りは、洗濯ブラシや歯ブラシで擦り洗いを行いました。

この検証の結果、以下のことが判明しました。

  • 乾燥状態よりも湿潤状態の方が色移りが起こりやすい
  • 濃色より淡色の方が色移りが目立つ
  • 繊維構造が単純な化学繊維は複雑な天然繊維よりも付着したチタンが落ちやすい
  • ウールニット(ウール天竺生地)はウール特有の縮れた繊維の奥にチタン粒子が入り込みやすいため、最も色移りの度合いが多い。
  • Merino Shirtなどに使用されているウール布帛生地やBamboo Shirtなどに使用されているバンブーレイヨン布帛生地は、生地表面が滑りやすいため摩擦によるチタンの付着が少ない
  • 淡色のウールニットは洗濯しても付着したチタンが解消されない場合があるが、それ以外の素材は洗濯により色移りは改善した
    ※濃色も洗濯後チタンが残留している場合があるが目立たない

この結果から、Alpha Vest背面素材のチタンコーティングの剥離による色移りは、ウールニット(ウール天竺生地)の淡色ではリスクが大きいものの濃色では目立たず、それ以外の素材でも色移りは発生するものの、洗濯により落とせる可能性が高いという推論に行きつきました。

また、着用と洗濯を繰り返すことでチタンコーティングは徐々に落ちていき、色移りも起こりにくくなっていくものと考えられます。

各生地素材ごとの
色移り試験結果

山と道の100% Merino/100% Merino LightシリーズやTrail Shirtシリーズ、他社の化学繊維ベースレイヤー製品と、チタンコーティングを施したAlpha Vest背面生地を乾いた状態と湿った状態で擦り合わせ、色移りの発生状況を調べました。

①100% Merino/100% Merino Light(ウール天竺生地)

乾いた状態で擦り合わせた結果

下段の淡色のBlue Gray、Blue、Pale Yellowにうっすらと色移りが確認できました。上段の濃色のNavy、Black、Charcoal Marl、Gray Marlも同様にチタンが付着しているはずですが、色移りは目立ちませんでした。

濡れた状態で擦り合わせた結果

下段の淡色のBlue Gray、Blue、Pale Yellowにはっきりと色移りが発生し、とくにPale Yellowに顕著でした。上段の濃色のNavy、Black、Charcoal Marl、Gray Marlも同様にチタンが付着しているはずですが、色移りは目立ちませんでした。

濡れた状態で擦り合わせ色移りを発生させたのち洗濯した結果

漬け置き後の揉み洗いでは汚れは落ちませんでした。洗濯ブラシや歯ブラシでやや強めに擦り洗いすることで汚れはほぼ落ちましたが、ブラシで擦ることによる毛羽立ちや生地痩せが懸念されます。

広範囲に色移りが発生した山と道100% Merino Light Hoody(Pale Yellow)を洗濯機にかけたのち、洗剤と洗濯ブラシによる部分洗いを行なった状態です。黒ずみは洗濯を繰り返すことで徐々に目立たなくなっていく可能性もありますが、生地目に入り込んだチタン粒子は簡単には落ち切らず、短期間で完全に除去するのは難しいです。

総評
Pale Yellow、Blue Gray、Blueの淡色をとくに湿った状態で擦り合わせると色移りが顕著に発生しました。ただ、チタンはNavy、Charcoal Marl、Black、Gray Marlの濃色にも同様に付着しているはずですが、肉眼ではほぼ確認できないほど目立ちませんでした。また今回のテストのように部分的な色移りは洗濯で落ちますが、チタンが広範囲に付着しているものは、ブラシで擦り洗いしても、全部を落とし切ることはできませんでした。ニット製品は伸縮性があるため、摩擦時に生地目が開いてチタン粒子が生地が奥に入り込みやすく、且つ縮れたウール繊維にチタン粒子が付着すると、一般的な洗濯方法で落とすことは困難であると推察されます。

②UL Shirt(ナイロン布帛生地)

乾いた状態で擦り合わせた結果

Light Olive、Storm Grayにうっすらと色移りが発生しました。

濡れた状態で擦り合わせた結果

Black以外のカラーにはっきりと色移りが発生し、特にLight Olive、Storm Gray、Burgundyは際立って色移りが目立ちます。Blackも同様にチタンが付着しているはずですが、色移りは目立ちませんでした。

濡れた状態で擦り合わせ色移りを発生させたのち洗濯した結果

漬け置き後の揉み洗いで汚れは8割程度落ち、洗濯ブラシや歯ブラシで優しく擦り洗いすることで、汚れはほぼ落ちました。

総評
100% Merino &100% Merino Lightシリーズと比較すると、比較的汚れを落とすことができました。洗濯の際は、洗濯機に入れる前に汚れの気になる箇所をブラシで部分洗いすることで、おおよその汚れは落とすことができます。

③Merino Shirt (ウール布帛生地)

乾いた状態で擦り合わせた結果

Gray Checkにうっすらと色移りが発生しましたが、その他のカラーには色移りは見られませんでした。

濡れた状態で擦り合わせた結果

どのカラーもうっすらと色移りが発生しましたが、さほど目立ちませんでした。

濡れた状態で擦り合わせ色移りを発生させたのち洗濯した結果

漬け置きののち、揉み洗いをすることで汚れは8割程度落ち、洗濯ブラシや歯ブラシで優しく擦り洗いすることで、汚れはほぼ落ちました。

総評
生地表面が滑りやすいウールシャツ素材は、乾燥状態であれば色移りは発生せず、湿潤状態では多少発生しましたが、はっきりとは目立ちませんでした。洗濯の際は、洗濯機に入れる前に汚れの気になる箇所をブラシで部分洗いすることで、おおよその汚れは落とすことができます。

④Bamboo Shirt(バンブーレイヨン布帛生地)

乾いた状態で擦り合わせた結果

Gray、Dull Goldにうっすら色移りが見られますが、さほど目立ちません。

濡れた状態で擦り合わせた結果

どのカラーも色移りが見られます。

濡れた状態で擦り合わせ色移りを発生させたのち洗濯した結果

漬け置き後の揉み洗いでは汚れは落としきれず、洗濯ブラシや歯ブラシで優しく擦り洗いすることで汚れはほぼ落ちましたが、ほんのり黒っぽい跡は残りました。また、ブラシで擦りすぎると、indigoは生地表面が少し白っぽく変色する恐れがあるため、擦り洗いは最低限にすることをおすすめします。

総評
生地表面が滑りやすく、乾燥状態であれば色移りは発生しませんでしたが湿潤状態では発生しました。洗濯の際は、洗濯機に入れる前に気になる箇所をブラシで部分洗いすることで、汚れはある程度落とすことができます。なお、湿った状況で強く摩擦を受け続けると、チタン粒子が生地目に入り込む可能性があり、汚れを完全に落とし切れない場合があります。

⑤化繊ベースレイヤー(ポリエステル天竺・メッシュ生地)

乾いた状態で擦り合わせた結果

化繊ベースレイヤーで多く見られるポリエステル製の天竺生地とメッシュ生地でも同様に色移り試験を行いました。天竺、メッシュとも色移りが発生し、生地色が白なので目立ちましたが、黒や濃紺など濃色の場合は同様に色移りしていても目立たないと考えられます。

濡れた状態で擦り合わせた結果

乾燥状態よりもはっきり色移りが発生しました。やはり白のような淡色はとくに色移りが目立つようです。

濡れた状態で擦り合わせ色移りを発生させたのち洗濯した結果

天竺素材は漬け置き後の揉み洗いで汚れは落ちますが、メッシュ素材は網み目が入り組んでおり、チタン粒子が編み目に入り込んでしまうと、ブラシで擦り洗いしても、多少黒ずみが残っています。

総評
化繊はウールのような細かい繊維に覆われていないため汚れを落としやすく、とくに天竺のように生地表面が平らな素材であれば、はっきりと色移りが発生してもきれいに落ちる可能性が高いです。メッシュのような立体的な編み組織構造はチタン粒子が編み目に入り込みやすく、ブラシで擦るなどしても完全に落とし切ることは難しいことが予想されます。また他素材と同じく淡色では色移りが顕著に見られるため、化繊メッシュをレイヤリングする場合も濃色を推奨します。

つづきを読む

洗濯ケアについて

Alpha Vestはチタンコーティングが剥き出しのため、ネットに入れずに他の洗濯物と一緒に洗うとコーティングが擦れ、チタン粒子が他の洗濯物に付着する可能性があります。洗濯は必ず単体かネットに入れてデリケートコース設定で行ない、ネットに入れる際はコーティング面を内側にしてください。

洗濯と着用を繰り返すことでチタンコーティングは徐々に落ちていき*、色移りも起こりにくくなっていくものと考えられます。

*洗濯機の種類や洗濯方法によって目安の洗濯回数は変動します。

Alpha Vestと同じチタンコーティングを施した生地を採用している山と道のAlpha AnorakやLight Alpha Vest/Jacketは、チタンコーティング面が裏地(アルファダイレクト)に覆われており、直接的に下に着用する衣類と接することはないため、色移りは起こりません。

返品について

返品を希望される方は、返品受付期間中のみ使用済み製品であっても返品を承ります。

返品受付終了期日:2021年11月17日(水)

山と道オンラインショップ・山と道研究所ショップでご購入の方
CONTACTより件名に「Alpha Vest 返品希望」と記入の上、ご連絡ください(可能であれば本文にご注文番号をご記載ください)。返品や返金の方法について、あらためてご連絡差し上げます。


山食音・山と道取扱店で購入された方
上記期日までに購入された店舗までご連絡をお願いいたします。

その他ご質問、ご不明点等ありましたらCONTACTよりお寄せください。

株式会社 山と道

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