Hiker's Classics

#12 黒澤雄介(RIDGE MOUNTAIN GEAR)

文/写真:黒澤雄介
2019.12.20
Hiker's Classics

#12 黒澤雄介(RIDGE MOUNTAIN GEAR)

文/写真:黒澤雄介
2019.12.20

誰にでもある、ずっと使い続けている道具や思い出の道具、どうしても捨てられない道具。

この『HIKERS’ CLASSICS』は、山と道がいつも刺激を受けているハイカーやランナー、アスリートの方々に、それぞれの「クラシック(古典・名作)」と呼べる山道具を語っていただくリレー連載です。

久々となる今回は、スモールメーカーRIDGE MOUNTAIN GEARの黒澤雄介さん。何を隠そう、RIDGE〜の活動の傍らこの10月まで山と道でも営業・生産管理として働いていた元スタッフでもあります。

「ULブロガー」→「個人メーカー立ち上げ」→「山と道スタッフ」→「スモールメーカーとして本格始動」と、ある意味この10年の日本のULシーンのど真ん中を歩いてきた黒澤さん、いや、クロちゃん。山と道を卒業して大海原へと漕ぎ出すクロちゃんに幸あれ!

NOTE

「おしゃれ」から出会ったハイキング

自分がハイキングに出会ったきっかけは、2010年にメレルの『ウィルダネス』というブーツを購入したことでした。当時アパレルメーカに勤務してハイキングとは無縁の生活を送っていた自分が、「おしゃれ」として購入したメレルのブーツ。せっかくならこれを履いて実際に山を歩いてみようと筑波山に出かけました。

ロープウェイは使わずに山頂まで登り、その達成感と見晴らしにやられ、そこから毎週末、関東近郊の山へ日帰りで出かけました。

ハイキングにハマる前から写真にハマっていたので、ハイキングと写真はセットでした。山へ出かけて山を撮りまくる。折角なのでその写真を誰かに見てもらいたいと『Ridge』というハイキングブログを始め、それがRIDGE MOUNTAIN GEAR誕生のきっかけになりました。

当時は今のようにSNSも盛んではなく、情報交換もちょっとアナログで、誰かのブログを読んだりBBSをのぞいてみたり。海外通販も今ほど一般的ではなく、ドキドキしながら購入したのを覚えています。

道具選びも楽しみのひとつで、まだ誰も紹介していなそうな製品を探して購入するのが好きでした。もちろん失敗もたくさんありましたけれど。

2013年11月気の合う仲間との谷川岳ハイキング。

山と道からRIDGE MOUNTAIN GEARへ

2011年に山と道主催のイベント『鎌倉ハイカーズミーティング01』に参加したことは、僕の人生の重要なターニングポイントになりました。(よくよく考えると設立2年目にしてあの規模のイベントを開催していたのか…)。そこで見たONEとYamatomichi Sacocheはとてもコンテンポラリーな印象でした。

クラシカルなベースは残しつつもあれだけ現代的なデザインの製品は他にはなかったし、それが今も古くないのだから、まさに“Hiker’s Classics”です。僕のClassicは全て山と道製品でも埋め尽くせるくらいです。

アパレルメーカーで悶々とした日々を過ごしていた自分が憧れだった山と道に誘ってもらい、2015年の11月に入社しました。それからは山と道とRIDGE MOUNTAIN GEARの2足の草鞋で、怒涛の日々でした。今年10月31日いっぱいで山と道を卒業しましたが、丸4年間は今思うとあっという間でした。

山と道では、道具が生まれるプロセスの重要さを一番学んだと思います。これから本格的にRIDGE MOUNTAIN GEARがスタートしますが、山と道の卒業生という名に恥じぬようなもの作りを心がけていきたいです。

2015年10月1週間の北アルプス縦走の途中、不帰ノ嶮。

長く使えるシンプルな道具

僕が好きなのはシンプルな製品です。過剰なギミック、デザインが施されていない物が好みです。ガンダムで例えると『Zガンダム』や『ZZガンダム』は変形もするし派手で華やかだけど、結局いちばん格好いいのはシンプルな『νガンダム』でしょ、みたいな?

せっかく取捨選択して手に入れた道具ならできるだけ長く使いたいし、自分の装備のレギュラーメンバーであって欲しい。軽さはもちろん重要だけど、僕にとっての最重要決定事項はいかにシンプルであるか、長く付き合えそうなデザインかどうかです。

なので、今も気に入って使っている道具はかなり以前から使用している物が多く、なかなか入れ替わりません。

2016年9月、ジョンミューアトレイル・スルーハイクのゴールマウント・ホイットニーにて。

Yusuke Kurosawa's CLASSICS

山と道 ONE

2016年9月に夫婦でJMTをスルーハイクした時にONEを使用しました。その時の僕は山と道に入社して間もなくで、「このONEを本格的に使用して、欠点を見つけ夏目さんにフィードバックしよう!」と意気込んで約2週間使用しました。その結果、欠点など見つからずその素晴らしさに感動してしまいました。とくに背面のXフレームとフロントの2つのポケット。これに尽きると思います。それぞれ使用用途は別れるけれどMINI、THREEも含め山と道のバックパックは世界一のバックパックだと思っています。

Tamrac Zip Shot Mini

山で写真を撮るのが好きなのでカメラは絶対に持っていきます。長時間露光をする際には三脚が必須となる訳ですが、一般的な三脚といえばカーボン製であってもそこそこ重いし、とても嵩張ります。この三脚は折りたたみ寸23cm255gで全高71cmです。脚パイプ内部にゴムコードが通してあり組み立てもとてもラク、見た目もいかにもUL感があってとても気に入ってます。

Mountain Laurel Designs 475 Titanium Mug + EPIgas SIngle Titan Mug Cover

2013年に購入してからソロハイキングに持っていく湯沸かし用チタンマグはほとんどこれです。
なんと言ってもハンドルがないシンプルなデザインが気に入りました。ハンドルがないのでもちろん湯を沸かした際はそのままだと熱くて持てないので口に耐熱のシリコンリングをつけています。蓋も付いていなかったのでEPIgas SINGLE TITAN MUG COVERを専用蓋として使用しています。サイズはピッタリです。一輪挿しにしても可愛いですよ。

アキヒロジンさんが作るJIN CUPが昔から好きで、4個ほど所有しています。中でもお気に入りがこのWasse Ultra Light Cupです。これは2013年7月、原宿のTOKYO CULTUART by BEAMSでの展示会を初日に訪れ、飾ってあったまだ製品化されていないサンプル品を譲ってもらった思い出のカップです。もちろん使い心地も気に入っています。素材はタブノキ。僕は金属を口に付けるのがとても苦手なのでこのカップはハイキングには手放せません。製品名にもなっている「Wasse」とは「わっせ」で、鹿児島弁で「凄い」という意味らしいです

RIDGE MOUNTAIN GEAR Case M & L

自身のブランド、RIDGE MOUNTAIN GEARのCase M & Lです。素材にDCFコンポジットファブリックハイブリッドを使用したジップ開閉式のスタッフサックです。ハイキングを始めた当初はシルナイロン製のスタッフサックを使用してきましたがパッキング時に滑りすぎてバックパックの中でスタッフサックのポジションが安定しないことが多々あり、次第にシルナイロン製のスタッフサックを使用しなくなりました。この製品に使用しているDCFコンポジットファブリックハイブリッドはDCFコンポジットファブリックより耐久性があるので、尖った部分があるクッカーなども安心して収納できます。

RIDGE MOUNTAIN GEAR Stuff Sack

自身のブランド、RIDGE MOUNTAIN GEARの素材にDCFコンポジットファブリックを使用したスタッフサックです。本体内部口元に1.5cm幅長さ約22cmのナイロンテープを収納しており(長さ調整は不可です)スタッフサックとミニショルダーバッグの2つの使い方ができます。
ご使用状況に合わせて中から取り出し、ハンドストラップ、ショルダーストラップとしてご使用いただけます。ハイキングではスタッフサックとしての使用し、帰りに温泉などに立ち寄る際はミニショルダーバッグとして使用できます。テント内ではクロージングなど柔らかい荷物を詰めてピローとしても使用しています。

The Small Twist

ハイキング時の食事に凝ってあれこれメニューを考えた時代もあったけれど、今ではなるべく簡単においしい食事を求めるようになりました。北アルプスなどへ出かける際は必ず小屋の料理を食べるようにしていました。このSmall Twistに出会うまでは。
一切小屋の料理を食べなくなった訳ではないのだけれど、小屋ではあまりこの様な洋風なメニューが少ないので、そういう食事が食べたくなったらSmall Twistを食べるようにしています。中でも“Farm-fresh minestrone”がいちばんのお気に入りです。

Arc`teryx Squamish Hoody

いつ購入したのかも忘れたくらい古いアイテム。現Jindaiji Mountain Worksのジャッキーさんに素晴らしさを熱弁され、次の日には購入していました。使用素材、パターン、存在感、そのどれもがとても素晴らしく、ハイキングにいく際はもちろん必ず持っていくし、普段から日常着として愛用しています。2018年のHLC台湾の際にカザマナオミさんにシルクプリントしてもらってさらにお気に入りのアイテムとなりました。

James Brand Elko

ポートランドのナイフメーカーJames Brandの小型ナイフです。日本では中々見かけないナイフで、ネットで見て一目惚れして本国サイトで通販しました。色々ナイフは試してきて、ハイキング時の調理ではOPINELのナイフがダントツで使いやすいのですが、これは完全にこのミニマルな外見にやられてしまって日常でもキーホルダーにつけて持ち歩いています。軽いチタン製の製品もあるけれどこちらはステンレス製です。

山と道 ONE

2016年9月に夫婦でJMTをスルーハイクした時にONEを使用しました。その時の僕は山と道に入社して間もなくで、「このONEを本格的に使用して、欠点を見つけ夏目さんにフィードバックしよう!」と意気込んで約2週間使用しました。その結果、欠点など見つからずその素晴らしさに感動してしまいました。とくに背面のXフレームとフロントの2つのポケット。これに尽きると思います。それぞれ使用用途は別れるけれどMINI、THREEも含め山と道のバックパックは世界一のバックパックだと思っています。

Tamrac Zip Shot Mini

山で写真を撮るのが好きなのでカメラは絶対に持っていきます。長時間露光をする際には三脚が必須となる訳ですが、一般的な三脚といえばカーボン製であってもそこそこ重いし、とても嵩張ります。この三脚は折りたたみ寸23cm255gで全高71cmです。脚パイプ内部にゴムコードが通してあり組み立てもとてもラク、見た目もいかにもUL感があってとても気に入ってます。

Mountain Laurel Designs 475 Titanium Mug + EPIgas SIngle Titan Mug Cover

2013年に購入してからソロハイキングに持っていく湯沸かし用チタンマグはほとんどこれです。
なんと言ってもハンドルがないシンプルなデザインが気に入りました。ハンドルがないのでもちろん湯を沸かした際はそのままだと熱くて持てないので口に耐熱のシリコンリングをつけています。蓋も付いていなかったのでEPIgas SINGLE TITAN MUG COVERを専用蓋として使用しています。サイズはピッタリです。一輪挿しにしても可愛いですよ。

アキヒロジンさんが作るJIN CUPが昔から好きで、4個ほど所有しています。中でもお気に入りがこのWasse Ultra Light Cupです。これは2013年7月、原宿のTOKYO CULTUART by BEAMSでの展示会を初日に訪れ、飾ってあったまだ製品化されていないサンプル品を譲ってもらった思い出のカップです。もちろん使い心地も気に入っています。素材はタブノキ。僕は金属を口に付けるのがとても苦手なのでこのカップはハイキングには手放せません。製品名にもなっている「Wasse」とは「わっせ」で、鹿児島弁で「凄い」という意味らしいです

RIDGE MOUNTAIN GEAR Case M & L

自身のブランド、RIDGE MOUNTAIN GEARのCase M & Lです。素材にDCFコンポジットファブリックハイブリッドを使用したジップ開閉式のスタッフサックです。ハイキングを始めた当初はシルナイロン製のスタッフサックを使用してきましたがパッキング時に滑りすぎてバックパックの中でスタッフサックのポジションが安定しないことが多々あり、次第にシルナイロン製のスタッフサックを使用しなくなりました。この製品に使用しているDCFコンポジットファブリックハイブリッドはDCFコンポジットファブリックより耐久性があるので、尖った部分があるクッカーなども安心して収納できます。

RIDGE MOUNTAIN GEAR Stuff Sack

自身のブランド、RIDGE MOUNTAIN GEARの素材にDCFコンポジットファブリックを使用したスタッフサックです。本体内部口元に1.5cm幅長さ約22cmのナイロンテープを収納しており(長さ調整は不可です)スタッフサックとミニショルダーバッグの2つの使い方ができます。
ご使用状況に合わせて中から取り出し、ハンドストラップ、ショルダーストラップとしてご使用いただけます。ハイキングではスタッフサックとしての使用し、帰りに温泉などに立ち寄る際はミニショルダーバッグとして使用できます。テント内ではクロージングなど柔らかい荷物を詰めてピローとしても使用しています。

The Small Twist

ハイキング時の食事に凝ってあれこれメニューを考えた時代もあったけれど、今ではなるべく簡単においしい食事を求めるようになりました。北アルプスなどへ出かける際は必ず小屋の料理を食べるようにしていました。このSmall Twistに出会うまでは。
一切小屋の料理を食べなくなった訳ではないのだけれど、小屋ではあまりこの様な洋風なメニューが少ないので、そういう食事が食べたくなったらSmall Twistを食べるようにしています。中でも“Farm-fresh minestrone”がいちばんのお気に入りです。

Arc`teryx Squamish Hoody

いつ購入したのかも忘れたくらい古いアイテム。現Jindaiji Mountain Worksのジャッキーさんに素晴らしさを熱弁され、次の日には購入していました。使用素材、パターン、存在感、そのどれもがとても素晴らしく、ハイキングにいく際はもちろん必ず持っていくし、普段から日常着として愛用しています。2018年のHLC台湾の際にカザマナオミさんにシルクプリントしてもらってさらにお気に入りのアイテムとなりました。

James Brand Elko

ポートランドのナイフメーカーJames Brandの小型ナイフです。日本では中々見かけないナイフで、ネットで見て一目惚れして本国サイトで通販しました。色々ナイフは試してきて、ハイキング時の調理ではOPINELのナイフがダントツで使いやすいのですが、これは完全にこのミニマルな外見にやられてしまって日常でもキーホルダーにつけて持ち歩いています。軽いチタン製の製品もあるけれどこちらはステンレス製です。

夏目 彰

夏目 彰

世界最軽量クラスの山道具を作る小さなアウトドアメーカー「山と道」を夫婦で営む。30代半ばまでアートや出版の世界で活動する傍ら、00年代から山とウルトラライト・ハイキングの世界に深く傾倒、2011年に「山と道」を始める。自分が歩いて感じた最高と思える軽量の道具をつくり、ウルトラライト・ハイキングを伝えていくことを「山と道」の目的にしている。