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山と道ラボ レインウェア編

#10

特別鼎談・土屋智哉(ハイカーズデポ)×山と道ラボ
構成/文:三田正明
2019.02.14
山と道ラボ レインウェア編

#10

特別鼎談・土屋智哉(ハイカーズデポ)×山と道ラボ
構成/文:三田正明
2019.02.14

昨年、おかげさまで大きな反響を呼んだ『山と道ラボ レインウェア編』ですが、その内容のあまりのディープさに、「読者はちゃんとついてきてくれているのだろうか」と思うこともしばしばでした。

そこでレインウェア編の最終回として、これまでの連載を、#1にもご登場いただいた東京三鷹のハイカーズデポ店主・土屋智哉さんとラボのメンバーで振り返って行くことで、これまでの読者の方々にはよき復習に、これからの読者の方々にはよき導入となるようなページを作ることにしました。

取材自体は2018年秋に行っていたものの膨大な情報量となり、編集部の体制が矮弱なせいで2月に入ってからの公開となってしまいましたが、そのぶん充実した内容になっていることはお約束します!

願わくばこの記事が、これからレインウェアの笹藪に飛び込んでいこうとするハイカーの、よき道標になりますように。

鼎談:土屋智哉(ハイカーズデポ)x 夏目彰(山と道)x 渡部隆宏(山と道ラボ)x 三田正明(山と道JOURNALS)

取材は2018年11月14日に行いました。左より土屋智哉さん、渡部隆宏、夏目彰。撮影:三田正明

三田 土屋さんと夏目さんの対談から始まった『山と道ラボ(レインウェア編)
』ですが、それから1年ほど調査と研究を進めてきて、ある程度の結論が見えたと思っています。今日はそのレインウェア編で我々がやっていたことをあらためて土屋さんにご報告させていただくことで、それが同時に読者の方々が連載を振り返るためのまとめページみたいに構成できたらと思っています。

夏目・渡部 よろしくお願いします!

土屋 でも、レインウェア編はすごく面白かったよ。自分はゴアテックスが完全に定着した30年くらい前に山を始めて、お店でもいろんなものを見たり使ったりしたんだけど、今回いちばんよかったのは、これまで実感では感じていたことを、統一の実験を行うことで感覚ではなく数値で実証してくれたこと。だから自分にとってはやっぱりそうだったんだ、ありがとう、みたいな感覚が強かった。

三田 確かに今回はこれまでブラックボックスになっていたものを、統一の試験を行ったり電子顕微鏡で解析することで可視化したというか、白日のもとにさらした、というのが全体の流れでした。

渡部 レインウェアのリサーチを進めるなかで疎水・親水っていうキーワードが浮上して、最終的にはそれが山と道のレインウェアに製品名にまで反映されたわけですけど、当初はそれが重要な軸だということはわかっていませんでした。実験してみると透湿性が以上に高いグループがあるぞとなって、その共通点を見てみるとそれが疎水性素材だったり、逆に保温性の高いグループを見るとそれが親水性だってことがわかってきて。メンブレン素材のブランド名だけに注目して深掘りしても、それはわからなかったと思うんです。実験してグルーピングをすることをゼロベースからやったってことが、今回、新しい発見が色々出てきた理由なんだと思います。

#1 土屋智哉(ハイカーズデポ)x 夏目彰(山と道)特別対談

#1より。

【山と道ラボ(レインウェア編)#1土屋智哉(ハイカーズデポ)x夏目彰(山と道)特別対談】

三田 では1回目から振り返っていきます。まず#1は、これからリサーチを進めるにあたって、どのような論点があるのかをまずは識者の方と相談してみよう、ということで、土屋さんと山と道夏目の対談という形でまとめました。ここで話されていた論点はいま読み返してみてもとんちんかんな部分はなかったですね。ここで「たぶんこうじゃない?」とクエスチョンマーク付きで話されていたことが、その後の実験や検証でやはりファクトだったんだということが確認されていくのがこの「レインウェア編」の全体を通した流れだったと思います。

土屋 このときから「レインウェアに究極の1着は存在しない」とか「レインウェアの良し悪しは透湿性だけでは判断できない」なんて話も出てきてたよね。それはいろんな形で実証できたと思う。

三田 ちょっと残念だったのは、レインウェアのデザインの部分にはフォーカスできなかったこと。フードだったりカフだったりファスナーだったりシームだったりっていう雨の侵入経路の検証までは手が回らなかった。

土屋 まあ、それはこれからの番外編に期待だね(笑)。それもテーマとしては大きいし。

三田 せめてフードだけでもやってみたいなあ。雨の侵入経路としては最大のファクターだと思うし。

土屋 山と道のレインフーディも、フードの部分をどうするかはすごく大きかったでしょ?

夏目 大きかったですね。

#1より。当時試作中だった山と道ULレインフーディ。

土屋 最初に着てみたとき、「このフード、すごいな」って思った。あれってすごく独特な形なんですよ。とくに首回りがすごく広いんだよね。

夏目 いろいろ実験をやって、従来のフードに多かった口元まで覆う形だと、顔に当たった水が全部ウェアの内側に入ってくるってことに気づいたんですよ。でも顎下で締めると顔に当たった水が外に落ちて、内側に入ってこない。

土屋 口元まで覆うのって基本的には風避けや雪避けだもんね。だから雨避けって考えると顎下なんだって考えたっていうのが、単純なことだけどすごい。

三田 だから山と道のレインウェア開発ではそういった検証を行って、それが結実してあの形になったわけですけど、それをラボには反映できなかった。

夏目 裏庭でシャワーを浴びて検証してたんですけど、それをラボで紹介するにはちょっと生々し過ぎて(笑)。

土屋 そっか。なんか山道のレインの話になっちゃったね(笑)。でもあれは俺、かなり気に入っているよ。

【山と道ラボ(レインウェア編)#1土屋智哉(ハイカーズデポ)x夏目彰(山と道)特別対談】

#2レインウェア・マーケット分析

【山と道ラボ(レインウェア編)#2レインウェア・マーケット分析】

三田 で、#2ではまず挑む相手を知ることから始めようと、2017年時点の日本のアウトドアマーケットで手に入るレインウェアを150種ピックアップして、重量や素材、透湿性能や耐水圧性能を記載した一覧表を作成しました。あらためて重量別に区切って見ていくと、100g台・200g台・300g台でそれぞれトレラン用/夏山登山用/雪山も視野に入れた登山用みたいな感じで、想定アクティビティが微妙に異なるものが作られているということがよくわかりましたよね。

夏目 僕はずっと軽いものしか見てきてなかったから、メジャーなメーカーが作っているものってこんなに重いんだって思った(笑)。

#2より、150g~200gクラスのレインウェア一覧表。データだけでもじっくり眺めていくことで、様々なことが浮かび上がって来る(画像をクリックすると拡大します)。

土屋 200g台が軽量っていまも言われているからね。日本だとモンベルのストームクルーザーの重量がレインウェアの基準になってくるんだと思うけど、20年経っても数十グラムしか変わってないっていうのは、軽くなることだけがいいわけじゃないだけど、やっぱり問題だよねって思った。

三田 でもまあ全体的なトレンドとしては間違いなく軽量化してるわけで、ストームクルーザーが200g切る時代っていうのも、そのうち来るんじゃないかな?

渡部 上下合わせて500gっていうのが現在のひとつの基準だと思うんですけど、上下300g時代っていうのにはだんだん近づいていると思います。

土屋 これだけ種類がたくさんあっても、このレインをどういうシチュエーションで使うものなのかっていうのがあまりはっきりしてないんだよね。日本の無雪期のアルプスだったらばこれくらいのものでも大丈夫、とか、アクシーズクインさんがやっているような樹林帯の中に特化したレインウェアとか、オフトレイルで藪と擦れたり岩と擦れるならこういうものとか。適材適所がはっきりしてくると、もっとすっきりしていくと思うんだ。

#2より、マッピングを踏まえて渡部研究員が作成したレインウェア分布図。

#3透湿試験とメンブレンの解説

三田 #3では、各社の代表的な防水透湿メンブレンを、まずは発表されている情報を元に素材や構造や機能の解説を行いました。プラス後半では、防水透湿素材の透湿性のスペックを出している透湿試験にはA1法やB1法など何種類かあるんですけれど、それぞれの試験方法を図解入りで説明すると同時に、試験結果と製品の性能の優劣は異なることを示唆しました。

渡部 #2のマッピングを行ったときに、カタログスペックで非常に透湿性能が高い素材はほぼメーカーオリジナル素材だったんですね。しかもそのオリジナル素材を紐解いていくと、親水性無孔質のポリウレタンがほとんどで、透湿性能が透湿性能が50,000~60,000(g/m2/24h/)とかってすごい数値だったりするんです。ですがそれが実際の着用状況を再現した試験かどうかがわからなかったので、その数値を出している試験方法はどうなっているのかを調べてみることにしました。

夏目 僕もB1法とかA1法とか透湿試験にはいくつか種類があることは知っていたけれど、どんな試験方法かってことまではわかってなくて、それがここですごく理解できました。

土屋 ちゃんとした資料がなかなかないからね。それがちゃんと図解もされてここにアクセスすればいつでも見れるっていうのは、リテラシーをあげる意味でもよかったよね。

#3より、代表的な透湿性能試験であるA1法とB1法の試験法を図解。

三田 A1法とB1法ではA1法の方が実際の着用状況に近い実験なんですよね?

渡部 B1法の方はメンブレンの片側を水に浸すので、親水系の方が良い数字が出やすいんです。だから透湿が50,000とか60,000とか出るんじゃないかって。

夏目 面白かったのが、あとで生地がない裸の状態で測っても、50,000って数字は出なかったんですよね。だからその数字って何? って(笑)。

土屋 それは生地に挟まれていないメンブレン単体ってこと?

夏目 メンブレンもなし。だから何もない状態で湿度がどれだけ発散されるかを測ったんです。それが透湿量で言ったら最大値じゃないですか。

土屋 なるほどね。自然に乾燥していく数値ってことね。

夏目 そう。だからそれ以上はないんですよ。

三田 単なる蒸発の数値も50,000も行かないってことですよね。じゃあその数値ってなんだ(笑)?

渡部 防水透湿素材って、服よりも人工血管みたいな医療用や建材に巻くための工業製品としての方がマーケットが大きいみたいで、試験方法もそのスペック測定を重視しているようです。だからどの試験方法もアウトドアウェアのフィールドでの着用状態を再現したものにはなってないんじゃないかな。A1法も比較的近いってだけで、完全な再現ではない。

三田 だから#3まではこれから本格的な実験や検証を行う上での前提条件を説明していたんですよね。レインウェアの議論を進めるためにまず抑えるべき要素を解説するだけで3回かかってしまったという(笑)。でも、ここでの各防水透湿素材の解説でePTFEとかPUとか、疎水性とか親水性とか、多孔質と無孔質っていうその後のレインウェア編のメインとなっていくキーワードが初登場しましたよね。これはほんと渡部さんの慧眼だったと思うんですけど、このファクターに注目したのは何故だったんですか?

渡部 製品名よりも構造で整理しないと、その後に実験に進んだときに製品名は違っていても内実は同じものを実験しても意味がないので、まず使われている素材やテクノロジーごとに分類してみたんです。

土屋 多孔質・無孔質の話って、アウトドアウェアの世界だと多孔質って言葉だけが例えばゴアテックスとかeVentの説明で出てきていたんだけど、そういう説明しているのもうちの商品ページくらいだったと思うのよ。でも、俺らも俺らはゴアテックスやeVnetにはePTFEって素材が使われていて、それがテフロンのフッ素樹脂膜だってことは言えても、それがPUとはどう違うんだとか、疎水性/親水性とか、コーティングのこととか、もっと深掘りして理解することは、「俺ですら」って言ったら変だけど、できていなかった。だから最近山を始めて『PEAKS』のカタログ号だけ見るような人にとっては驚くようなことがいっぱいだろうし、俺らにとってもここまで突き詰めてきちんと解説してくれると理解しやすかった。共通の図解で解説してくれたのが良かったね。

#3より、ゴアテックスの構造図。

三田 でも、ここまでは実際に試験して検証したわけじゃなく、あくまでカタログデータから推測した解説なんですよね。渡部さんは本職がリサーチャーなんで、プロのリサーチャーがレインウェアについてデスクリサーチした結果がこれでした、という内容で。誰でもアクセスできる情報をきちんと集めて読み込めばここまでのことがわかるよ、というものなんです。

土屋 だからそれを踏まえて次の#4で実際の着用状態に近いオリジナル試験を行ったってことだよね。そこが凄かった。雑誌にしても俺たちも公開されているスペック以上のとこまでは突っ込めなかったからさ。でもラボはここからが本番っていうのが、ラボのラボたる所以だもんね。「あ、本当にそこまでやるんだ」っていうのが。

【山と道ラボ(レインウェア編)#3透湿試験とメンブレンの解説】

#4独自検査法による透湿性能試験

三田 そして#4ではこれまでのデスクリサーチで浮上してきたキーワードであるPU系とePTFE系、疎水性素材と親水性素材の特性の違いを調べるため、実際の着用状況に近い状態を再現すべく独自の透湿性能試験機を製作して、各種の防水透湿素材を横並びで同一の透湿試験を行いました。プラス、その実験結果を元にラボの3人で議論しています。

夏目 ここでやはりそれぞれの素材やテクノロジーの違いによる透湿の挙動の違いが見えてきたよね。

三田 やっぱり素材の構造である程度は同じ挙動でしたよね。ePTFEのeVentもPUのパーテックス・シールドプロも、素材は違うけれど疎水性多孔質という構造は一緒なのでほぼ同じ挙動だった。

夏目 あと生地そのものの薄さも結構重要で、 OMMのカムレイカと山と道のULレインフーディPU Shinsuiにも使っているパーテックス・シールドは親水系無孔膜素材ということでメカニズムは一緒だけど、生地の厚さが違うことで透湿速度は差があるってことがわかった。

土屋 表面の生地による違いは当然あるだろうね。でも、自前で実験装置まで作って検査したってとこがすごいね。

三田 そこは渡部さんが頑張ってくれました。自前の装置を作って湿度と温度を制御できる実験機の中に入れて計測したんですけど、ともあれ実験自体は反省点も多かったですね。

渡部 素人実験ではありましたからね。やはり正確なデータを取るには試験方法の洗練や回数を重ねることが必要で、実験慣れしていない我々が数時間行うだけではバラつきもあって、事前の仮説ほど結果がきっちりと素材や性質によって別れてくれるわけではなかった。その後に仮説を立てたり深めたりすることには役立ちましたけど。

#4より、渡部研究員考案の透湿試験法。

同じく渡部研究員が作成した試験装置。

実際の試験の様子。

土屋 でも、最初の対談のときも夏目さんと「樹林帯のなかはポンチョでいいじゃん」とか話したけど、実験を夏山の設定と冬山の設定で2種類やったのは俺はすごく面白かった。実験精度ではまだまだだったかもしれないけど、条件が変わるとデータも変わるんだよ、ってことが提示できただけでも意味があったかなって。同じ素材でも着用条件が変わるだけで全然違うんだよってことが少なくともわかるじゃない。あとウェアの内側も外側も多湿のときに透湿が起きるものと起きなものがあるという結果もすごく興味深かったし。

三田 これだけの種類の素材を同じ方法で試験するってこともそれまで出てなかったわけで、とりあえず同じまな板の上にあげてみたことには意味があったかなと。

#4の試験結果。ともあれこれら防水透湿メンブレンを同一方法で試験したデータもめったになく貴重だ。

土屋 あと、最近のレインウェアって透湿性のことばかりに話が行きがちだけど、透湿性の低さ=保温性で、透湿性が低いことは悪いばかりじゃなくてメリットがある場合もあるんだって話が後半の鼎談で出てくるよね。暖かいってことは蒸れるってことだってはっきり言われたのは、自分の中ではひとつの転換点になったな。

渡部 それは#1の対談で「レインウェアの機能の本質は低体温症を防ぐことであって、極端に言えばウェア内部が濡れるかどうかは問題ではない」という議論から繋がっているんですよね。

土屋 そうそう。ウェア内部が蒸れてたって蒸れを感じなきゃいいんだよ。それを体感や実感でなくて、データを通して話されたっていうのが俺にはでかかった。まあそういうのが楽しいって思ってる人間がどれだけいるのかわからないけど、俺はそういうの楽しい(笑)。お店の立場としても納得して読めたし、データを通して納得して接客できるから、すごくありがたかったのね。これを接客に生かせなかったら、俺は専門店としては失格だなっていうくらい。

三田 ほんと、せっかくここまでデータをオープンにしているので、ユーザーもお店もメーカーもメディアも、どんどん活用してほしいです(笑)。

【山と道ラボ(レインウェア編)#4独自検査法による透湿性能試験】

#5電子顕微鏡による組成解析

三田 そして次の#5では、マイクロスコープと電子顕微鏡で各種防水透湿素材を覗いて素材解析を行いました。これまでそれぞれの素材の解説については仮説を含んでいたんですけど、ここでより正確に解析することができましたね。

土屋 この電子顕微鏡のとこは俺はわかりずらかったな。単純に電子顕微鏡の写真を見ても俺には読み取れない(笑)。

三田 確かに解説を読まないと、写真を見ただけだと何が何だかわからないですよね。

夏目 ネオシェルとカムレイカは謎が多い素材で、どういう構造に基づいているのかもわからなかったし、それぞれの生地が実際にどうなっているのかを知りたくて、じゃあ電子顕微鏡で覗いてみようってことなんですけど、これは自分たちで実際に見たわけじゃなくて、試験機関の素材のプロの人に見てもらったんです。

土屋 「読み取れたこと」ってあるここだね。ぶっちゃけ、カムレイカの37.5テクノロジーが素材だけ見ても通常のPUの無孔質親水膜と何ら変わらないってのとか(笑)。

夏目 まあ、わからないと(笑)。少なくとも僕たちには発見できなかった。

土屋 紳士だね〜(笑)。

三田 37.5°C以上になると開く弁みたいなものは発見できなかった。それがどこにあるのかは検査機関の人もわからないと。とりあえず試験結果でも電子顕微鏡で見ても37.5°Cテクノロジーに該当するようなものは見つけられなかった。もちろん、我々の試験や観察に問題があったり的外れだった可能性もありますが。

渡部 37.5°Cテクノロジーってカムレイカだけじゃなくて紳士服とかにも使われていて、繊維に椰子の実由来の微粒子みたいなのを埋め込んでいるみたいで、その粒子の孔が温度変化で開いたり閉じたりするっていう触れ込みなんですけど。

夏目 その粒子は見えなかったよね。で、ネオシェルはPUだって聞いてたけど、どう見てもePTFEだなとか。

#5よりネオシェルの超拡大画像。

三田 多孔質ePTFEメンブレンは極細の繊維が絡み合って蜘蛛の巣状になったような構造をしていて、その繊維と繊維の隙間が孔となって多孔質になっているんですけど、多孔質PUは薄い膜に無数の細かい孔が空いたスポンジ状の構造質になっているんですよね。だからネオシェルがメーカーの発表だとPUなのに電子顕微鏡で見たら蜘蛛の巣状なんで、ならePTFEなんじゃないの? って。

土屋 それがPUでできてたらすごいイノベーションだって検査機関の人のコメントがあったよね。

三田 でもその構造はPUだとありえない形なんですよね。

渡部 PUかePTFE以外の素材の可能性も検査機関の人に聞いたんですが、否定的でした。

三田 でもメーカーはPUだって言ってるんですよね。

土屋 メーカーの言うとおりネオシェルがPU疎水性多孔質ってことでは、ネオシェルとシールドプロは同じ素材なわけじゃない? でもこの後でやる試験では、結構違いが出たよね?

三田 だからネオシェルとシールドプロは素材も性質も同じだけど、構造が違うってことなんですよね。さっき言ったみたいにネオシェルは電子顕微鏡で覗くとePTFEの蜘蛛の巣状で、シールドプロはPUみたいにスポンジ構造なんで。

夏目 もう、見た目がぜんぜん違うからね。

渡部 ともあれ、全体としては素材は違えどメンブレンは疎水性多孔質と親水性無孔質という2種類の性質と構造に大別できて、それが同じならほぼ同じ挙動になるという結論でした。

【山と道ラボ(レインウェア編)#5電子顕微鏡による組成解析】

#7同一試験による防水透湿素材の総合評価

三田 で、次の#6はこれまでのまとめとして総集編を挟みました。以前の試験の結果、やはり自分たちで試験を行うのは限界があるという結論に達したので、その次の#7では試験機関に試験を依頼して、各種防水透湿素材の透湿性、保温性、透湿速度を同一試験でテストすることにしました。

土屋 これは面白かった! ほんとパーテックスシールドとカムレイカの差とか、ゴアテックスとeVentの差とかもこんなに出るんだっていうのがレーダーチャートですごくわかりやすく出てくるし、ここはほんと、「レインウェア編」の全体の肝だよね。いつもみんなが話しているようなことが、ここにデータとして出ている。

#7より。A1法とデータロガーによる温度湿度計測を総合したレーダーチャートを作成した。

三田 実際にパーテックシールドを使ってる山と道のULレインフーディPU Shinsuiと、シールドプロを使っているULレインフーディPU Sosuiを着比べてみても、このデータの数値はある程度納得いく結果が出たと思いますね。自画自賛になっちゃうけど、改めて読み返してもこの試験はすごいですよね。どこまでこのデータを信用できるかは議論あると思いますけれど、主要な防水透湿素材の性能を同一試験でここまで明確に測定したものが世に出たことは、これまでもなかったんじゃないかな。メーカーのラボとかは持ってるかもしれないけど。

渡部 A1法の試験結果も出たことないのに、データロガーの結果も同時に出しましたからね。

夏目 あとびっくりしたのが、このとき通気試験もやったんですけど、ネオシェルやeVentは通気性が良いぶん風を通すってよく言われるけど、試験したら風は通していなかったんですよね。

土屋 「通気」と「風を通す」のは違うって前から言われてはいたけどね。

夏目 それが試験で明快に出たんですよ。

土屋 メーカーもお店もメディアもそうだと思うんだけど、「透湿」とか「通気」って言葉って、「透湿ってこういうことなんですよ、通気ってこういうことなんですよ」っていう説明を抜きに、言葉だけが一人歩きしている感じはあるよね。

#7より、データロガーによる温度変化、下が水蒸気量の変化。

夏目 レインウェアに関しては、ネオシェルもeVentも風を通さない。でも透湿性の高い素材なので、着ていると外気温と衣服内温度が同じ状態になるような性質を持っているから、外が寒くなれば衣服内も寒くなる。

土屋 あとヌケがいいんだとすると、透湿すると気化熱で体温も奪われるから、それで寒く感じるというのはあるかもしれないね。ネオシェルやeVentを冬山で使うと寒く感じるってそういうことなのかなって。

三田 物理現象って、イメージとそこで起こっている実際のメカニズムが違うっていうことありますからね。僕、最近はじめて太陽が暖かいのは太陽の光が熱いからじゃなく、太陽光線に含まれる電磁波が光の当たった物体の分子を揺らして、その振動が発熱するから暖かくなるというのを知ったんですね。そんな「太陽は暖かい」なんていう当たり前の事実だと思っていることすら、漠然と持っていたイメージと実際にそこで起きている物理現象は全く違うわけで。そう考えると、いろんな場所でそういうことってあるんだろうなって。なんとなく通気性がいい=風を通すっていうイメージを持ちやすいけど、実際に起こっていることは全然違う。

夏目 だから吹雪のなかでネオシェルを着たって、風は通さないんだよね。でも、寒いことは寒い(笑)。

渡部 とくに多孔質素材は構造的に生地に極小の孔が開いているから、風を通すように誤解されちゃうんですよね。でも試験の結果風速50m相当でも全ての素材が風を通さなかったので、孔が極端に小さければ風は通さないってことなのかな。穴の周りで乱流とかが起こるのか、メカニズムはわからないですけれど。

三田 あらためてレインウェア編を振り返ってみると、本編はここまでですね。#1で議論された様々な疑問を色々な方法で丸裸にしてみたというか。でも、仮説だったものが、ほぼ「おそらくこうであろう」と言えるくらいまでは検証できたのではないかと。

【山と道ラボ(レインウェア編)#7同一試験による防水透湿素材の総合評価】

#8レイヤリングのもたらす効果

三田 そして#8ではこれまでの防水透湿素材のみの実験から一歩進んで、それとウールや化繊のベースレイヤーをレイヤリングした状態での実験を行いました。実際の着用場面に近い状態を再現すべく、ゴアテックスとパーテックスシールドプロのシェルと、メリノウールと化繊のベースレイヤー生地をレイヤリングして、「発汗シミュレーター」という検査機械を使用して透湿性や保温性を測定しました。

#8より発汗シュミレーターの概念図。

土屋 #8は、またこのグラフがすごく良かった。これ見るとやっぱりメリノが良いってことがよくわかるよね。

夏目 化繊がウェア内の湿度や温度調整に悪影響を及ぼしているってことにびっくりしました。

三田 ウールの優位性がここまで出るとは思わなかったですよね。実験の結果、ゴアテックスの蒸れやすさとパーテックスシールドの保温性の低さという相反する弱点がメリノウールのベースレイヤーによって補われることが数値として示されました。化繊のベースレイヤーは単体だと速乾性が高いけど、そのぶん繊維中に湿気を留めてくれないのでウェア内部に湿気がどんどん放出されて、結局ウェア内部は蒸れてしまう。でもウールは保水性が高いので繊維の中に湿気を留めてくれて、ウェア内部の湿度は低くなる。

土屋 そう! 化繊のベースレイヤーは1枚で着ないと意味がないという、このデータが出たのがすごかった。

#8より。ウールは化繊に比べより湿度を下げ保温性を高めてくれる効果が確認できた。

渡部 ここまでの実験では曖昧さがあったり仮説が入ったりしましたけど、#8については結果が明らかだったので、非常に気持ち良かったですね。

三田 この結果を見ると「蒸れる/蒸れない」ってレインウェアが疎水性多孔質か親水性無孔質かよりも、ベースレイヤーが化繊かウールかっていうことの方が重要かもって思うくらいですよね。
夏目 これから『山と道ラボ』でも行動着編をやっていくので、もっと突っ込んだ試験をやっていかないといけないね。

土屋 もしかして穿った人は「山と道は自分たちのメリノを売るためにこの実験結果を出した!」って言うかもしれないけど、それはそれでいいんだよ。着なきゃいいんだから。ハイカーズデポでもベースレイヤーは化繊は扱っていなくて、ずっとウールなの。だから嬉しかった。これにも書いてあったけどさ、雨具って単体で着ることはなくて中に何か着ている状態が普通だから、じゃあ「中に何を合わせるのがいちばん良いのか?」という問いに対して、エビデンス(根拠)が出てきたのはでかいよね。このグラフを見たときに「おお!」って(笑)。これまででいちばん説得力のある、明確なデータだと思った。

三田 何となくはわかってたけど、ここまでとは思ってなかったですよね。さらにウールはウェア内部の湿度も下げるっていう。

土屋 ウールがウェア内の湿気を吸うんだよね。

夏目 かつ吸い込んだ湿気で発熱する。

土屋 まとめるとウェア内部で飽和しちゃってる湿気を吸って、湿度も下げ、そして保温もする。#1のときに、2.5レイヤーのレインウェアを着るときに湿気の控え室になる裏地がないんだったら、裏地に代わるものを着ればいいんだよって話したじゃない。それはまさにウールを着ればいいんだという。でも、ウールは耐久性が低い点が短所だから、それを補うために化繊と混紡するのか、メリノ100%にこだわるのか、落としどころをどこに置くかだと思うんだよね。

三田 山と道のメリノウールはメリノ100%だけど、ベースレイヤーでメリノ100%というのは実はあまりないんですよね。

土屋 あとは昔のアイベックスくらい。

三田 50%-50%か80%-20%かとか、ウールと化繊の混紡具合もメーカーによって違いがありますしね。

土屋 であって、どこの選択肢を取るかでいいと思うのよ。お店もメーカーもそうだけど、どこに立って開発するかってなったときに、僕らはメリノがこういう実験結果から良いと思っているっていうことが伝えるじゃない。もしかしたら、この実験に対して別の切り口、反論が出てくるかもしれないけど。

三田 状況が違えば結果は変わるかもしれないですからね。

土屋 でも今回の実験の条件下って想像しやすいんだよ。例えば、がっつり尾根登って稜線まで出ました。汗かいてます。風が吹いてます。雨も降ってきました。そういうシチュエーションだったら保温を高め、且つ湿気も汗冷えもおさえ、シェルの内部の環境を整えれるのはこういう着合わせですよ。そういうハイキングで起こりうる、いちばん気をつけるシチュエーションとしてすごく説得力がある。

三田 濡れるならウールだってことですよね。暑い日で、日帰りのトレランやハイキングでおそらくシェルも着なそうな天気だったら化繊の方が良いけど。

渡部 化繊は基本的に吸湿しないんですよね。

土屋 化繊は単体で着るんだったら非常に乾きが早いけど、俺はお客さんにも乾きが早いってことは気化熱で体温が奪われるってことだってよく言うんだ。今回、レインウェアのテーマで出てきた問題が、明確に保温ということと、透湿っていうのは違う指標になってる。それをきちんと重要な要素としてエビデンス含めて提示ができたし、言葉にできたのが今回の「山と道ラボ」レインウェアの中では一番、有効なことだったんじゃないかな、単に「この素材はすごいんですよ」っていう結論を伝える方がわかりやすいと思うんだけど、そうではなくて、「山と道ラボ」は読んだ人が自分で選択するための指標を提示することができた。そこが俺はすごいなって思うんだよね。頭の中でモヤっとしてた部分がスッキリした。

三田 個人的には素材の構造やメカニズムを知ることで、そこでどんなことが起きてこういう結果になっているということが、前よりはイメージしやすくなりましたね。でも、速乾性=蒸れないことだと思っていたことが、レイヤリングしたらそうじゃないということは驚きでしたね。

渡部 非常にわかりやすかったですね。レインウェアの中に着るってことを考えると明確にメリノの方が優位性がある。

土屋 いままで言われなかったことだよね。あんなにハッキリとデータに出ると思わなかったでしょ?

夏目 正直、そこまで考えてなかったですよ。

三田 速乾性が良い方が蒸れないに決まってると思ってた。

土屋 体感的にはわかっていたけどね。これからは店頭でこのデータを見せて、お客さんともっと深い話ができる。それはすごいことだと思う。#8はめちゃすごい! めちゃ感謝してます!

夏目 ありがとうございます!

【山と道ラボ(レインウェア編)#8レイヤリングのもたらす効果】

#9超軽量レインウェアはウインドシェルになるか?

三田 そして実験の最後となる#9では、「超軽量レインウェアはウインドシェルの代わりになるか?」と題して、パーテックスシールドを使った山と道のレインフーディPU Shinsuiとシールドプロを使ったレインフーディPU Sosui、パタゴニアのフーディニジャケットを実験室で着用して運動し、ウェア内部の温度と湿度を計測しました。

#9より。それぞれの素材ごとに待機と運動をくり消して湿度と温度を計測した。

夏目 土屋さんはどう思われますか? 確実にウィンドシェルの代わりになるということではないですけど

土屋 あくまでハイキングの店、ハイキングのメーカーと言ってるうちらみたいなスタンスの場合、道具を減らせることは重要だよね。だったら、これまでレインウェアとウィンドシェルは違うとしてたけれども、そこが限りなく近づいていることは歓迎していいと思っている。保温性の問題を抜きにすれば可能性は全然あると思うし、さっき言ったように保温はレイヤリングで補えばいいんだってことが提示できれば、生地が薄くて透湿速度が速い素材だったり、生地が厚くても通気する素材だったり、落とし所が出てくる。

夏目 実際、僕はもう数日間のハイキングならウィンドシェルを持っていかなくなりましたね。

土屋 シールドプロとか、実際ここまで生地が薄くなって透湿性も良いとなると、ハイキングの運動負荷だったらもうウィンドシェルって実はいらなくなるんじゃないのかな。重要視する要素ではなくなってきている。

三田 データだけを見ると、シールドプロの方が湿度は上がったんですよね。だけど、着心地が良かった。

夏目 温度が全然違うんですよ。湿度は上がったけど、温度は上がらなかった。

土屋 面白いよね。パーテックスシールドは湿度は上がらなくて温度は上がっている。

夏目 実験でもシールドプロは運動してるとパタゴニアのフーディニよりも抜けてる感じがあって、ウェア内の熱量みたいなのがなくなっていく感じがありました。それは3人とも感じています。

#9より、実験の様子。

土屋 いまみんなが使っているフーディニっていつの?

夏目 僕のちょっと古いです。

土屋 じゃあヌケるやつだ。フーディニは何年か前に素材が変わって、全くヌケない素材になっちゃったんだよね。

三田 僕のは現行のデザインになってからのやつなんで、たぶんヌケなくなってからのやつですね

土屋 パタゴニアがフーディニの素材変えたときに「なんでこうしちゃったの?」って聞いたら、お客さんに理解してもらいやすいのが通気性よりも防風性なんだって。

三田 こんなに薄いけど風は通しませんよ、ということですよね。

土屋 それはそれですごくわかりやすいけど、目線が単一的だなって思っちゃったんだよね。10数年前に俺らがULやり始めた頃って、ウィンドシェルは風は防ぐけどヌケが良いってことが素晴らしいと言っていたんだよね。しかもシャツより薄くて小さくなるし。でも、実はいま販売されているウィンドシェルのほとんどって透湿を無視した昔ながらのウィンドブレイカーに逆戻りしているように思う。

三田 当時より生地は薄くなっているから通気性はないけどそれほど蒸れない、という作りですよね。ここまで3レイヤーの防水透湿素材が薄くなってくると、境目がかなりわからなくなっている。

渡部 それこそ50〜60gしかないランニング用とかでないとウィンドシェルが活きるところがなくなってきているのかもしれませんね。

三田 レインウェアが100gそこそこになってくると、ウィンドシェルで150gとか180gっていうのはもうよくわかんなくなってきちゃう。

土屋 いまの軽いウィンドシェルって高密度でナイロンを織ってるから、本当に通気しないんだよね。

渡部 走ると中がビチョビチョになるんですよね。

土屋 結局、透湿させるためには、ある程度太い糸を多少目を粗く織らない限りは抜けないじゃん? そうすると重たくなる。じゃあ、どっちを取るのって話。ウインドブレイカー/ウインドシェルの再評価って20年くらい前から始まったと思うんだけど、それから15年経って、素材の進化や変化がここまであると、もはやウインドシェルは微妙なものになりつつある。これ、面白いのがULの業界ではむかし、「超撥水のウィンドシェルがレインウェアの代わりにならないか」って議論があったの。結局は耐水圧がないからなりませんで終わるんだけど、その理論が素材の進化でもう一回転して逆方向から出てきたのは面白い。

三田 実際、ゴアテックス・シェイクドライとかパーテックス・シールド/シールドプロだったらウィンドシェル並みの軽さを実現できますからね。

土屋 ここなんか、メーカー的に新しい商品開発のテーマに繋がるじゃんない?

夏目 そうですね〜。

土屋 ウィンドシェル側からじゃなくて、レインウェア側からまだまだアプローチできる余地が実は残されてるかもっていう。そこまで深読みする人がいるかわからないけど、新しい開発のテーマみたいなもの、そこをちゃんと提示できたからさ。メーカーがやるラボとしてはすごくオープンでフラットでかつ最終的には自分たちの主張を#8でやることができたし、メーカーとしても次のステップというのがきちんと#9で提示できたし、この連載を通じてひとりのユーザーやハイカーとしても読んで楽しかったし、この業界で長くやっている立場としても勉強になる思いで読んでたので良かったっす。

三田 土屋さんに活用していただけるなら、我々もまさに本望ですよね。

土屋 やばいな。今日は俺、なんか山と道の太鼓持ちみたいな(笑)。

夏目 今日は「テーブルどこでひっくりかえされるかな」くらいの気持ちでドキドキして来たんですけど(笑)。

土屋 そんなことないよ。今後ともよろしくお願いいたします!

夏目・三田・渡部 こちらこそよろしくお願いいたします! 今日はありがとうございました!

【山と道ラボ(レインウェア編)#9超軽量レインウェアはウインドシェルになるか?】

1年以上に渡ってお伝えしてきた『山と道ラボ(レインウェア編)』ですが、これにて一旦終了となります。ともあれ、レインウェアの探求はまだまだ続きますので、リサーチすべきテーマが見つかった際にはまた機会を設けてレポートしていきたいと考えています。

そして、次なるラボの研究テーマは「ベースレイヤー」。すでにリサーチは始まっていますが、こちらの世界もレインウェアに負けず劣らずの伏魔殿であることをひしひしと感じています。

『山と道ラボ(ベースレイヤー編)』にも、どうぞご期待ください!

三田 正明

三田 正明

フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。