422g (Size S)
448g (Size M)
473g (Size L)
498g (Size XL)
はじめに
山にも、生活にも、焚き火にも
トレイルシャツの開発から派生して生まれたメリノウール100%のコーチジャケットです。
ニュージーランド産羊毛をイタリアの老舗メーカーが織り上げた、中厚手ながらMerino 5-Pocket Pantsより若干薄い208g/m²の生地を使用しました。
メリノウールは火に強く、強力な天然の消臭機能、衣服が呼吸するような調温・調湿機能は、行動着としても焚き火ウェアとしても優れています。
山から普段の生活までを快適に楽しめる、ずっと着続けたいと感じる服です。
制作ノート
呼吸するジャケット
2019年にベータ版として出したβ Merino Coach Shirt Jacketは、袖を捲まくれたり、大きなポケットが便利ということで、使ってもらった方々からは好意的な反応をいただいた。そのまま、正規の製品としてリリースすることも検討してみたが、Merino Shirtとの差が少ないため、いっそのこともう少し厚手のコーチジャケットとして作ってみるのはどうかと考えた。
秋冬はMerino 5-Pocket Pantsがとても調子が良い。メリノウールの持つ調温・調湿機能が、化学繊維にはなかなか真似ができない着心地の良さを作りだしてくれるのだ。
そこで、Merino 5-Pocket Pantsより少し薄手のメリノウール生地で作ってみたところ、やはり調子が良い。アウターとしても使えるし、着ていて気持ちいいから、ずっと着ていられる。使い勝手としては耐風性能が少し高いフリースのような感覚だろうか。

新雪の北海道黒岳石室にて
僕はウールが好きだ。できれば上半身も下半身もすべてウールを着て歩いていたい。ウールの肌感覚が、第2の皮膚をまとっているような安心感と気持ちよさを与えてくれる。ウールの魅力は、天然酵母のパンの美味しさや無垢のフローリングの気持ちよさに似ていると思う。
たとえばアルファダイレクトのウェアは軽く、通気性と保温性が高いため、山の行動着としてはより優れている。自分も本気で雪山を楽しむ場面ではそちらを選ぶだろう。でも、もう少し気軽に楽しむような山行であれば、Merino Coach Jacketを選ぶ。なぜなら、ずっと着続けていたいと思わせる着心地と魅力が、調温・調湿する、その呼吸するような少ししっとりした生地から感じるからだ。生活の中に溶け込み、そのまま山の散歩を楽しむ。そんな時にずっと着ていたい服だ。
(2020年10月)
レビュー
冬の完全体

2019年から2020年にかけて、僕は試作中だったこのMerino Coach Jacketの下に山と道のMerino Pullover(旧製品名。2021年追記)とMerino Hoody(旧製品名。2021年追記)を着て、同じく山と道のMerino 5-Pocket Pantsを履くというスタイルでほぼひと冬を過ごした。
羊サマの毛にすっぽりと包まれるこの組み合わせだと、メリノウールが本来持つ調温・調湿機能が存分に発揮され、屋外から屋内に入ってもそれほど暑くなりすぎず、一方で屋外に出ても優れた防風性と適度な保温性があるので、脱ぎ着の必要があまりない。つまり楽チンなのに快適で、しかも羽織るだけで様になるので、ついまた着てしまう。そうこうしているうちにダウンやフリースを着る機会がほぼないまま冬が終わった。ついに僕は、「冬の完全体」のスタイルを見つけたと思ったものだ。
先日、秋の尾瀬を訪れた際も、気温5℃ー15℃くらいの環境ではとても快適に歩けた。さすがに至仏山へのハイクアップでは脱いだものの、ヒートアップしても化繊のインサレーションより蒸れたり汗をかかない印象があったのは、やはりメリノウールの優れた調温・調湿機能のおかげだろう。
今年の冬も、僕はたぶんずっと「冬の完全体」スタイルで過ごすと思う。けれどそんなふうに気がつくとつい着てしまう、使ってしまう服や道具こそが、僕は本当に良いものであると思っている。

山と道JOURNAL編集長 / 山と道フォトグラファー
山と道JOURNALS・オンラインショップ編集長。及び撮影・執筆・構成を担当。
フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。ライターとしてはULハイキングや日本のインディペンデントメーカーのカルチャーをライフワークとして追い続けている。取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。最近、ついに鎌倉への移住を果たす。
機能とデザイン
焚き火に似合う服
ウールは火に強く、焚き火を楽しむ場面に適した素材です。ナイロンやポリエステルの化学繊維のウェアでは火の粉で穴が開いてしまうことがありますが、ウールではありません。火を近づければジリジリと燃えますが、自然に鎮火します。さらにMerino 5-Pocket Pantsと組み合わせれば、安心して焚き火を楽しむことができます。

強力な天然の消臭機能
メリノウールは「1週間着続けても匂わない」と言われるほど高い消臭機能を持ちます。化学繊維のなかには消臭機能を施されたものもありますが、実際の性能は天然の100%メリノウールが圧倒的に優れています。
その消臭メカニズムについては未だ多くの謎が残されており、一説には、ウールは臭気成分の吸着量が極めて多く、繊維内に人間の嗅覚に届かないレベルで取り込まれるとも言われていますが、山と道としても今後独自の実験と検証を行っていく予定です。

優れた調温・調湿機能による快適さ
メリノウールは「天然のエアコン」とも言われるように、衣類内の温度や湿度をコントロールし快適な着心地を作り出します。
暑いときには涼しくなり、寒いときには暖かくなるこの相反する特性は、ウールの「クリンプ」と呼ばれる繊維の縮れが生地内部に空気層を作ることで高い通気性と透湿性を保つことと、「コルテックス」と呼ばれる繊維の皮質部が取り込む吸湿量が外気の湿度に合わせて変化し、湿度が高くなればなるほど多量の湿気を吸湿することに起因します。
「クリンプ」が作る繊維内部の空気層はダウンや化繊綿と同様にロフトとして熱を保ち、同重量のコットンや化学繊維に比べて保温性に優れます。

襟を立てて首元を保温
早朝や夕暮の肌寒い時間帯や強風下など、山では首元を保温したいと思う場面が多々あります。そこで山と道オリジナルのギミックとして、襟を立ててボタンでとめられるようにしました。シンプルなデザインですが防風や保温に非常に有効です。

各部のディティール

襟はスタンダードなデザインです。

首の後ろにはフックなどにかけられるようループを設けました。

スナップボタンで行動中も素早く開閉できます。

腕の動きを妨げないよう、アームホールを脇下に向かって広く取ったピボットスリーブを採用しました。

袖口にはゴムを入れまくりやすくしました。

大ぶりで使いやすいポケットには物が飛び出ないよう、スナップボタンを設けました。

裾をドローコードで絞ることができます。

バックパックを背負ってもずり上がらないよう、後ろ身頃を長く取りました。
素材
なぜ100%メリノウール?
山と道は化学繊維が混合されていない100%メリノウールにこだわってきました。
メリノウールは優れた調温・調湿機能と天然の消臭作用など、ハイキング用行動着として素晴らしい性質を持ちつつも、天然繊維ゆえの歪みや縮みが起きやすいことや耐久性の低さなど、軽視できない弱点も持っています。
この弱点を補うため、現在の多くのアウトドア用メリノウール生地は数パーセントから数十パーセントの化学繊維を混合して作られていますが、山と道は一貫して「100%メリノウール」にこだわったメリノウールの製品開発を行なっています。
これは、ひとえに私たちがその弱点を補ってあまりある利点と魅力をメリノウールに感じているからですが、独自試験の結果からも、その利点である調温・調湿機能などメリノウールの素晴らしい機能性が、化学繊維との混合率に応じて相対的に減ってしまうことが明らかになっています。

上は蒸し暑い環境(気温30度・湿度90%)と、快適な湿度の環境(気温20度・湿度65%)のそれぞれで、繊維が含む水分率を比較した図表です。
蒸し暑い環境では繊維がより多くの水分を含む方がサラッとした着心地につながり、一方湿度が低い場合は過度に水分を吸いすぎない方が潤いを保ってくれます。この両者の水分率差は環境に応じて衣類内を調湿する性能を表しており、快適性に繋がることが実証されています。
水分率差6.8%の100%メリノウール生地は蒸し暑い環境で衣類内をドライに保ち、湿度が低ければ適度な水分率を保ちます。このことが、メリノウールが「天然のエアコン」とも言われる所以になっています。
NZ産100%メリノウール毛を使用したイタリア生産の生地
素材には、ニュージーランドの自社牧場で羊の飼育から糸作り、生地作りまで一貫生産を行なっているイタリアの老舗メーカーの100%メリノウール糸から生産した生地を使いました。
メリノウールの柔らかな着心地や肌触りと、山の中でもラフに使えるタフさを兼ね備えたジャケットになっています。
耐久性についても、ニットのウールと比べると丈夫で耐久性も高く、長期間着用すると若干の毛玉は起きますが簡単にケアできる範囲です。

100% Merino Wool
素材:100% メリノウール
生地重量:208g/㎡
引裂強度(JIS L1096D):たて3kg よこ3kg
切れ目のある試験片を引張り、引き裂かれるまでの荷重値
引張強度(JIS L1096A):たて40kg よこ38kg
試験片を一定の速度で引張り、破断した最大値
通気性(JIS L1096A):38.3cc/㎠・s
試験片に一定の圧力で空気を吸引した際の空気流量
メリノウールについて
ウールは調温・調湿性、保温性、消臭性など、羊が過酷な自然環境を生き抜くために身につけてきた多種多様な特性を備えた天然繊維です。
なかでもメリノ種の羊から取れるメリノウールは、繊維が一般的なウールよりも細く柔らかいためチクチクせず、肌着としても着用できることに大きな特徴があります。
ウール/メリノウールは、夏は涼しく、冬は暖かく、水や雨に濡れても体が冷え難く、長時間着用を続けても臭いが気にならないなど、自然の中で行動するハイカーが必要な機能を多く兼ね備えた素材です。

ウールの構造
ウールの繊維は、人の髪の毛や皮膚と同じアミノ酸からなるタンパク質を成分とし、人間の髪の毛の表面のキューティクルと同様にウロコ状になった「スケール」という表皮と、「コルテックス」という皮質部から成っています。
「コルテックス」は、オルソ・コルテックスとパラ・コルテックスというそれぞれ吸湿性が異なる皮質が組み合わさった構造からなり、性質の違う皮質が組み合わされることで、ウール繊維は「クリンプ」と呼ばれる縮れた形状になっています。
この構造が、ウールの持つ優れた調温調湿性や保温性、汗冷えのしにくさなど、様々な特性を生んでいます。

ウールのデメリット
優れた特性と機能を持つメリノウールですが、もちろん欠点もあります。どうぞメリット/デメリットをご理解の上ご着用ください。
- 水を吸って重くなる
含水率が高いウールは生地中に多くの水分を吸収できるため、化繊に比べると乾くまでに時間がかかります。ただし、速乾性の高い繊維は水分蒸発と共に気化熱が生まれ、体温をも素早く奪ってしまうリスクがあります。また速乾性に関しても、同じ生地厚であればコットンより早く乾燥します。
- 虫に食われやすい
ウールやカシミヤ、シルクなどのやわらかい動物性繊維は、衣類害虫に最も好まれます。
- 擦れて穴が開きやすい
ウールは繊維長が短いため、擦れると繊維が抜けやすく、化繊や綿素材と比べて比較的生地が痩せて穴が開きやすい素材です。
サイズガイド
推奨サイズ
Size | XS | S | M | L | XL |
---|---|---|---|---|---|
体重(kg) | 42~53 | 51~61 | 59~69 | 67~78 | 76~85 |
胸囲(cm) | 78~84 | 80~88 | 84~95 | 92~102 | 100~110 |
製品サイズ


単位:cm
Size | XS | S | M | L | XL |
---|---|---|---|---|---|
着丈 | 67 | 71 | 73 | 74.5 | 76 |
肩巾 | 43 | 47 | 49 | 52 | 54 |
身巾 | 51.5 | 56.5 | 59 | 62 | 65 |
裾巾 | 48.5 | 53.5 | 56 | 59 | 62 |
袖丈 | 55 | 60.5 | 62 | 63.5 | 65 |
袖口巾 | 8 | 9 | 9.5 | 10 | 10.5 |
着用イメージ
サポート
製品ケアについて
メリノウールは優れた消臭機能を備えているため、頻繁に洗う必要はありません。ただ、虫食いによる穴あきが起こりやすいなどのデメリットもあるため、洗濯や保管は適切に行う必要があります。各注意事項をお読みいただいた上で、ご家庭での製品ケアにお役立てください。
SUPPORT「製品ケア」をご確認ください。
さらに詳しい洗濯や乾燥方法については、SUPPORT「製品ケア」内、Merino Coach Jacketのページで写真を交えて紹介しています。正しくケアを行うことで製品の機能や性能をより長く保つことができます。ぜひ参考にしていただき、末長くご愛用いただければ幸いです。
お支払いについて
- お支払いはご注文時にお願いします。
- お支払いはクレジットカード、または銀行振込が利用できます。
- クレジットカードはVISA、MASTER、JCB、AMEXに対応しています。
- 銀行振込の場合は、注文確認メール到着後5日以内のご入金をお願いします。
- 銀行振込手数料はお客様のご負担となります。
- 領収書は製品発送時に送る発送完了メールに添付されたリンク先からダウンロードをお願いします。
発送について
- ご購入後に注文確認メールをお送りします。
- 決済確認後、3日以内に製品を発送します。
- 大型連休、災害、悪天候、ご注文の集中、ご注文の追加確認等により出荷、配送に遅延が発生する場合があります。
- 製品が発送された時点で発送完了メールをお送りします。
- 別々に注文した製品の同梱発送はできません。
沖縄県・離島を除く全国:佐川急便で発送します。
送料:500円
沖縄県・離島:ヤマト運輸で発送します。
送料:500円(離島)/950円(沖縄県)
サイズ交換について
ご購入後、製品のサイズが合わなかった場合は交換対応いたします。交換に際し以下の内容をご確認のうえ、SUPPORTページ内の「サイズ交換・不良品サポート」よりお申し込みください。
- 未使用品のみ交換いたします。試着程度は問題ありません。
- 交換は製品到着後5日以内に限ります。
- 製品を弊社で確認し、たばこや化粧品等の臭い、汚れ等が認められた場合は返品をお断りする場合があります。
修理について
山と道ではすべての製品の修理を受け付けています。穴あきやパーツ補修、経年による劣化など、修理のご相談はSUPPORTページ「修理について」よりぜひお気軽にお寄せください。