渦中に、山を想う。
閉塞感に覆われていた20年の夏、次の製品撮影について考え始めていた。山と道の製品写真は、具体的なイメージを持ってもらうために、毎回、実際チームで山に入って、その製品に最もふさわしい場所で撮影することにこだわっていた。
緊急事態宣言が出ていた春は、台湾チームへの遠隔ディレクションにより奇跡的に台湾の山での撮影ができたけれど、この夏に日本でモデルさんやスタッフと集団で山に撮影に行くことはイメージできなかった。
そんな中、山や空の写真を大きくプリントして背景にしたり、プロジェクターで投影してその前で撮影する案など、夏目さんと案を出し合った。その後、コラージュ案に至った時に、切り抜いた写真を身の回りに置いて撮影する手法を思いついた。
手法自体とくに新しいものではないが、日常生活を送る中で山へ馳せる想いが高じて、幻覚のように机の上をハイクする姿を絵にすることができれば、「渦中」である今の気分にピッタリなのではないかと思った。名付けて「Desktop Hiking」。
灼熱の材木座海岸でモデル撮影を行い、研究所の仲間たちとハサミでチョキチョキ。そしてアーティストのカザマナオミさんの江ノ島のアトリエで幻覚が始まった。
阿部洋介
カザマナオミさんのアトリエにて
江ノ島のはずれにあるアトリエは天窓からもきれいな光が入る。撮影を進めていくと、世界中を旅しているような気分になった。(夏目)
山と道研究所にて
タイベックをしわくちゃにして凸凹を作ると雪山になった。影がまるで暴風の悪天候に見えた。青いドアは青空になり、木の什器や窓枠が山小屋になった。(夏目)
阿部洋介さんのオフィスSmall inc.にて
むき出しのコンクリートが、まるでハードな岩場のようにも見えてきた。(阿部)
BEHIND THE SCENES
Art Direction & Photography
Yosuke Abe
Models
Naomi Kazama
Ai Watanabe
Hikari Tsutsui
Junki Nakamura(Yamatomichi)
Hiroki Kimura(Yamatomichi)
Ichiro Kitajima(Yamatomichi)
Direction
Akira Natsume(Yamatomichi)