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HLC Report

特別編:HLC北海道Wアンバサダー対談(峠ヶ孝高・沼田信悟)

初代の峠ヶから2代目・沼田へのアンバサダー移行期間を迎えるHLC北海道のこれまでとこれから
取材/写真/文:三田正明
2025.03.14
HLC Report

特別編:HLC北海道Wアンバサダー対談(峠ヶ孝高・沼田信悟)

初代の峠ヶから2代目・沼田へのアンバサダー移行期間を迎えるHLC北海道のこれまでとこれから
取材/写真/文:三田正明
2025.03.14

新アンバサダーにMUNIEQの沼田信悟が加わり、峠ヶ孝高とのアンバサダー2人体制となる2025年度のHLC北海道。これは、実はこれまでHLC北海道を引っ張ってきた峠ヶが、今季限りでアンバサダー卒業をすることを踏まえた移行期間であるからです。

そこで今回はHLC Report特別編として、峠ヶと新アンバサダー沼田にHLC北海道のこれまでとこれからを大いに語ってもらいました。HLC北海道がこれまで作り上げてきたコミュニティや新アンバサダー沼田のパーソナリティなどに迫る内容になっていますので、HLC北海道の活動に興味のある方はぜひお付き合いください。

そして新アンバサダー沼田を、どうぞお見知り置きを。

左:沼田信悟 20歳の時、訪れたヨセミテの絶景に心を打たれる。機械工学の知識とアウトドアへの情熱を活かし、大学卒業後自転車部品メーカーに就職。コーヒー好きが高じ、山でも美味しいコーヒーを楽しむための道具をデザインし、2016年にアウトドアギアメーカー「MUNIEQ」を設立。同時期に始めたランニングが次第にトレイルランニング中心となり、山に入る機会が増える。HLC北海道の初年度からプログラムに参加し、無雪期はトレイルランニングからハイキングまでシームレスに活動。冬はスノーボードも楽しんでいる。
右:峠ヶ孝高 北国の生活に憧れ北海道のニセコに移住し、2009年にコーヒーショップ『SPROUT』を開業。2019年にはコーヒーとアウトドアとライフが楽しめる場所『Camp&Go』をオープン。現在はコーヒーを勉強しながらハイキングやスキー、カヤックとニセコの自然をアクティブに過ごしている。

運命の出会い⁉︎

——まず、ヨシさん(峠ヶ)からお話を伺います。HLC北海道は今年で6年目のシーズンに入りますが、これまでの5年間はどんな5年間でしたか?

峠ヶ HLC北海道はCamp&Go*がオープンしたのと同じ年に始まったんで、Camp&GoとHLCって、自分の中では一緒になっているんですね。Camp&Goはここ(ニセコエリア)でのコミュニティで、HLCは自分が外に出ていくコミュニティというイメージです。この5年間の間に、本当に一緒に育ってきたという感じですね。

*「ニセコの山で遊ぶ人が集い、新たに訪れる人を迎える場所」を目指し、カフェ『スプラウト』、アウトドアショップ『ストライドラボ』、自然食品店『PYLAM』やギャラリースペースなどからなるニセコエリア・倶知安のコミュニティのハブとなっている複合施設。

——参加者の皆さんとも一緒に育ってきた?

峠ヶ そうです。自分もアンバサダー1年目で、皆さんもBASIC*の『ULハイキング入門講座』から始まって、ギアリストを一緒に作ったり、本当にどんどん一緒に成長していった感じだったんですけど、3年目くらいからみんなのステージがちょっとずつ変わってきて、それこそお子さんのサッカー教室をきっかけにお父さんもサッカーに本気で力を注ぎ出したり、南極越冬隊にチャレンジする人がいたり、海外に移住したり、結婚したり起業するっていう人もいたり。最初に一緒に始めたみんなが、どんどん次のステージに上がっていくのを目の当たりにした5年間でもありました。

——参加者の皆さんとはかなり濃密に関わってきたんですね。

峠ヶ それと1年目〜2年目はニセコをベースにして周辺の山とかでやってたんですけど、北海道は広いんで、洞爺湖で開いたりとか、PRACTICE*では知床に行ったりと、この5年間で活動エリアも広がりましたね。

BASIC* 山と道HLCの入り口であり、ULハイキングのビギナーが対象のプログラム。『ULハイキング入門講座』ではULハイキングの方法論と考え方を座学で学び、『ULハイキングワークショップ』は座学で学んだことを実際に1泊2日のフィールドで確認する。

PRACTICE* 過去に山と道HLCへの参加経験のある方を対象とした、アンバサダーと参加者がひとつのチームとなってチャレンジングなハイキングに挑む山と道HLCの年間の集大成的なプログラム。

——沼田さんも、そもそも参加者としてHLCに関わられたんですよね?

沼田 そうです。初年度からヨシさんにお誘いいただいて。

——じゃあ、おふたりは以前から面識があったんですね。

沼田 そうです。

峠ヶ 一緒にトレランしたりとか、九州のハッピーハイカーズギャザリング*も一緒に行ったり。

——何年ぐらい前からの付き合いなんですか?

沼田 6〜7年ぐらいですかね。

峠ヶ そうだね。

——トレラン繋がりですか?

沼田 コーヒー繋がりですね。

——そうか。ヨシさんもコーヒー屋さんだし、沼田さんもMUNIEQとしてドリッパー作っていますもんね。

沼田 たまたま知り合った人から「面白いことやってるコーヒー屋さんあるから、絶対に声かけてみたら気に入ると思うから連絡とってみなよ」と紹介されたのがスプラウトで、次の日にメールしたんですよ。そしたら、ヨシさんも既に僕の名刺をどこかで入手して持っていた(笑)。

峠ヶ MUNIEQは元々知ってたんですよ。スプラウトにも置きたいなってずっと思っていて、そんな時に焙煎の講習会が東京であったんですけど、会場に沼田さんのMUNIEQの名刺が置いてあったんで写真撮って、北海道戻ったら連絡しようと思っていたら、そのタイミングで偶然にもメールが来て。

——運命の出会いって感じですね(笑)。沼田さんはHLC北海道に参加してみて、どんな感じでした?

沼田 僕自身、テント泊を伴うハイキングをやりたいなってずっと思ってたんですけど、とっつきにくかった。でも、そういうきっかけがあってHLCが始まって、活動に参加させてもらって、すごく自分の中で幅が広がったし、良い経験を積めました。そして何より山に行く仲間が増えましたね。

——結構何度も参加いただいてたんですか?

沼田 初年度から3年目くらいまではそうでしたね。プラクティスにも3回参加しました。

峠ヶ さっき言ってた、一緒に成長していった最初のメンバーのひとりでしたね。

——その間に、沼田さんから見てHLC北海道には変化や成長はありましたか?

沼田 初年度から3年目は、最初は大きい荷物を背負ってた人もどんどん軽くなっていったり、皆がブラッシュアップしていくような雰囲気でしたね。

2022年「幌尻岳2泊3日ULハイキングプラクティス」のYouTube動画

当初、日高山脈最高峰の幌尻岳(標高2,052m)での2泊3日のハイキングを予定していたが、悪天候のため直前の参加者一同でのディスカッションで行き先を道東に変更し、斜里岳と摩周屈斜路トレイルというふたつのエリアを歩く2泊3日の山旅に。行き先やルート、タイムスケジュールまでもを3日前に組み直すことになったものの、その変更の速さや柔軟さにも、荷物を軽くシンプルにすることで考え方や行動も軽くなるULハイキングの特徴が大いに役立ち、またHLC北海道のコミュニティの結束力を示す結果ともなった。動画には峠ヶと沼田も登場。

——先ほども話に出ましたが、沼田さんの本業はMUNIEQとしてアウトドア用のコーヒードリッパーやアルコールストーブの風防などを作られているんですが、MUNIEQは今年で何年やっているんですか?

沼田 9年です。

——ドリッパーの「テトラドリップ」にしても、メッシュ素材の風防の「Xメッシュストーブ」も、すごく個性的なデザインですけど、アイデアはどういう所から発想しているんですか?

沼田 ブランドを立ち上げた時にドリッパーがあって、それは僕の趣味だったコーヒーを山でおいしく淹れたいけど、当時は良い道具がなかったんで、あれを形にしたんです。Xメッシュストーブに関しては、元々あのメッシュ構造の作り方を知ってたんです。「これを何かにうまく使えないかな?」っていうところから製品を逆に考えたパターンですね。

MUNIEQ テトラドリップ (ステンレス・Lサイズ)

MUNIEQ X-メッシュストーブ (ローハイト・Lサイズ)

ひとつのコミュニティができた

——ヨシさんは、今年の沼田さんへのアンバサダー移行期間を経て、来年卒業という形になるんですが、どういった経緯で今回そういう決断に至ったのか、教えてもらえますか。

峠ヶ いろいろな要素があったんですが、まず、Camp&Goをやり始めて、いろんなことを経験して、やらなきゃいけないことも増えて、その中でハイキングのギアリストみたいに、自分の「暮らしのギアリスト」を作って整理してみたんです。そしたらギアリストと同じように自分の活動をシンプルに考えられるようになって、削れるところや同じ役割を持っているものをひとつにしたりできて、それだったらこれまで山歩きとコーヒーを別々に分けて考えていたんですが、一緒に考えることもできるんじゃないかって思ったんです。そしたら今までのコミュニティとHLCもくっつけて考えることもできるなって。そしたら自分じゃなくて、次の人にバトンを託すのもいいのかなっていう考えが出てきた。

——例えば、この5年間でスプラウトでヨシさんが担当してた仕事を誰かに継ぐっていうこともあったと思うんですけど、そういう感じですか?

峠ヶ そうですね。これはもう、自分がやらなきゃいけないわけではないんじゃないか、みたいな。それとHLCを一緒に始めた人たちが、ステージが変わっていくのを見てて、自分もチャレンジしたいなっていうのもひとつ。生産者さんを巡るコーヒー旅にもっと出たいんです。それで作っている人の背景なんかをもっと知るって、それを皆さんに伝えることでお返ししたいなって。

——確かにアンバサダーをやっているとそこでスケジュール切られちゃう部分もあるし、ご家族のこととか、他の予定もあるでしょうしね。

峠ヶ そうなると、そこにあてられる時間って、ここしかないというか。今の自分にとっていちばん大事なのはどこかっていったら、コーヒーなんじゃないかと。HLCは、自分の中ではこの5年でひとつのコミュニティができたと思うんです。土を作って、そこから木が生えて実をつけたというか。

——収穫ができたというか。

峠ヶ そうですね。自分の中で収穫できた物があったのかもしれないですよね。そうすると次のステージに行きたくなる。そこで次の土を作れたら、HLC北海道にもそれを返していけるかなっていう。自分のやることで。

——卒業されると聞くと寂しいというか、ネガティブに受け取られかねない部分もあるのかもしれないですけど。

峠ヶ そういう感じでHLCも、ずっと同じ人がやってる場所があってもいいと思うし、入れ替わり立ち替わり、コミュニティがずっとフレッシュな感じで続けてくんならアンバサダーが交代していくのもありかもしれない。そこで得たことを次の場所で活かして、次の場所で活かしたことを持って帰ってくることで、その場所も良くなるっていう。繰り返していけたらなって。

——なるほど。本当に卒業で終わっちゃうとは思ってなくて、次の場所に行って、それを返したいっていうのが大きい。

峠ヶ そうですね。それでまたHLC北海道のコミュニティも、さらに広がって厚みが出てくるのかもしれないし。

今ならできる

——沼田さんも、ヨシさんから今のようなお話しを聞いた上でアンバサダー就任のオファーをもらったと思うんですけど、お話を聞いて率直にどう思われましたか?

沼田 びっくりしました。「まさか自分に⁉︎」って(笑)。「ちょっと考えさせてください」って、いろいろ考えたんですけど、ここ数年は自分の方でもコミュニティを作る機会が結構あったんです。ランニングのグループを作ったり、小さいトレランの大会を立ち上げたり、そういう流れがあったので、今だったらできるような感じもあったんです。多分5年前だったら、「コミュニティを作る経験なんてしたことないし、難しいです」って言ったと思うんですけど、今ならできるかなって。

峠ヶ 丁度そこら辺がぴったりきて良かったです!

——そんな感じで、今年はヨシさん、沼田さんのダブルアンバサダー体制でやっていき、来年度から沼田さん体制へと移行していくわけなんですが、沼田さんはどんなことをしていきたいと思っていますか?

沼田 自分の色みたいなものは今年やりながら考えたいと思っていますが、いまアイデアとして思ってるのは、自分は札幌がベースだから、札幌の近郊の山をちょろっと登ってテント泊して、朝日見て帰るみたいな気軽なプログラムをやったら、裾野が広がるのかなって。

峠ヶ さっきも話にも出たけど、日帰りの山にテント泊を入れてみるっていうね。帰ろうと思えば帰れるんだけど、あえて山に泊まって楽しむみたいな遊び方を提案できたらいいなと考えてます。

——とりあえずプログラムとしては、4月5日に倶知安のスプラウトでやるミートアップが沼田さんのお披露目ですね。

沼田 僕と、2025のプログラムやスケジュールのお披露目ですね。

——で、4月26日が札幌のトレイルハットで「ULハイキング入門講座」が開かれます。これまで「入門」は札幌でもやったことありましたっけ?

峠ヶ 札幌はこれが初めてです。これまでもやろうとはしてたんですけど、トレイルハットが改装中だったので。

——で、5月に洞爺湖でBASICの『1泊2日ワークショップ』があって、7月にPRACTICEの『北海道2泊3日ULハイキング』。

峠ヶ 7月のPRACTICEは詳細はまだまだこれからって感じですが、BASICから始めた人たちと計画から作り上げていくプログラムがPRACTICEで、事前にZOOMで打ち合わせしたりするから、コミュニティが作られていく。

沼田 なので、ぜひ4月5月6月のBASICから参加してもらいたいですね。

——いい感じにこうして代替わりして、広まって深まってったらいいですね。HLCもスタートから6〜7年たって、そろそろまた次のステップに向かっているのを感じますね。

峠ヶ そうですね。5〜6年前とは状況がまた全然違いますよね。

——昔はHLCって言われても何やってるのか伝わってなかった気がするけど、浸透はしてきたのかなと。では最後に沼田さん、抱負をお願いします!

沼田 2025年は年間のプログラムを通して、まずはしっかりとヨシ君からHLC北海道を引き継ぎたいと思います。なので僕の特色が出てくるのは2026年からかな。僕自身もの作りに携わっているので、「道具」と「ULハイキング」で面白い企画ができたらな、なんて企んでいます。ご期待下さい!

HLC北海道 2025年度プログラム

4月5日(土)
【LIFE & COMMUNITY】HLC北海道ミートアップ

4月26日(土)
【BASIC】ULハイキング入門講座(TRAIL HUT / 札幌)

5月24日(土)ー25日(日)
【BASIC】洞爺湖1泊2日ワークショップ

6月14日(土)ー15日(日)
【BASIC】札幌近郊1泊2日ワークショップ

7月5日(土)ー7日(月)
【PRACTICE】HLC北海道2泊3日ULハイキング

9月21日(日)
【LOCAL STUDY HIKING】北海道東トレイルの誕生と維持管理

10月11日(土)
【BASIC】ULハイキング入門講座(八剣山イージーマイルズ / 札幌)

3月14日(土)
【GUEST SEMINAR】MYOG入門

連載「HLC Report」