上杉あゆみのULハイキング研修
上杉あゆみのULハイキング研修
社是としてスタッフには「ハイキングに行くこと」が課される山と道。「願ったり叶ったり!」と、あちらの山こちらの山、足繁く通うスタッフたち。この『山と道トレイルログ』は、そんなスタッフの日々のハイキングの記録です。今回は、山と道鎌倉スタッフ兼修理部の上杉が、社内の「ULハイキング研修制度」を利用して山陰ジオパークトレイルを歩いた8日間の記録をお届けします。
日本海の海沿いをウキウキ歩くことを楽しみにしてた上杉ですが、全然海が見えなかったり、道中おじさんに絡まれたり、胃が食べ物を受け付けなくなったりと、予期せぬことばかり。しかし、どんな出来事も「面白い!」と、持ち前のポジティブさで乗り切ります。地球の未来を考えながら山陰ジオパークトレイルを歩くついでに、終の住処も探そう! 会いたい人にも会おう! という、目的盛りだくさんな上杉の珍道中をどうぞお楽しみください。
はじめに
山と道鎌倉のコミュニケーションスタッフ兼修理部の上杉あゆみです。私は、週末はコミュニケーションスタッフとしてお店に立ち、平日は修理部でメリノウール製品の修理を担当しています。
ハイキング歴は、25年近く。小さい頃に登った槍ヶ岳がかっこよすぎて、槍ヶ岳の全てが知りたい、北アルプスの全ての道を歩きたいと思ったら、日帰り、縦走、クライミング、アルパイン、冬山、アイスクライミングに沢登りと、トレラン以外の山での遊びは、なんでもしていました。
なぜトレラン以外かというと私自身、運動が苦手。「え、山に登っているのに?」と思った方も多いはずですが、私にとって山登りはお散歩なのです。山をゆる〜く楽しんでいたい、ワクワクすることをしていたい、そんなことが好きなのです。
そんな私は、今まで自分の好きな山を好きなように歩いてきましたが、今回は社内の「ULハイキング研修制度」を利用して、11月19日から11月26日までの8日間、山陰ジオパークトレイルを歩きました。
山陰ジオパークトレイルは鳥取の青谷駅から京都の経ヶ岬を日本海に沿って歩くトレイルです。ユネスコにも認定されていて、地質・地形から地球の過去を知り、未来について考えて活動することがコンセプト。
散々山や海で遊んできたけど、地球の過去や未来のことを真剣に考えたことなんてあったっけ? と、ジオパークトレイルのことを知った時に振り返りました。このトレイルを歩いた時に私自身は何を感じ、何を思うのかを知りたくなり、このルートを選んだのです。
研修のテーマは「未来について考えること」。ULハイキング研修を通して、今まであまり考えてこなかった地球の過去、未来を考えつつ、いつも歩いている山との違いを感じてみたい。さらに自分の未来についても考えるべく、私の安住の地の候補に上がっている中国地方の海沿い地域の下見も兼ねています。
そして、途中で山と道修理部の師匠である北島さんのいる豊岡工場*を訪ねてみる予定を組みました。
*山と道では現在、新鎌倉工場の建設に向けて、長年提携している兵庫県豊岡市の鞄製造会社「タカアキ」さんのご協力のもと、豊岡に工場を作り、研修と工場設備の設営を進めています。詳しい経緯についてはこちらのJOURNAL記事をご覧ください。
ということで、日記形式のレポートをお届けします。

山陰ジオパークトレイルは鳥取の青谷駅から京都の経ヶ岬を日本海に沿って歩く全長約230kmのトレイル。
めちゃくちゃ寒かったよ、鳥取は!
1日目、11月下旬に入り関東も一気に気温が下がり冷え込んできた。羽田空港へは、家からバイクで行くことにしたのだけど、さすがにハイキング装備だけじゃ寒すぎて、とっさに山と道のAlpha Anorakを着た。
鳥取砂丘コナン空港へ到着すると、あの「名探偵」のコナンくんと蘭ちゃんがお出迎え。飛行機を降りた瞬間、「鳥取、寒‼︎」となり、予定外に持ってきたAlpha Anorakに救われる。この旅ではAlpha Anorakを大変重宝した。
ここから少し歩いて山陰本線で鳥取大学前駅から青谷駅に。

JR山陰本線の青谷駅がスタート地点。
自宅のある神奈川県から送っておいた荷物を青谷駅横の郵便局に受け取りに行き「出発するか!」と思った矢先、雨が降り出した。「まぁー、小雨だしな」と歩き出すが、まぁまぁ本降りに。
近くのドラッグストアで雨宿りも兼ねて、とりあえずの食料を購入。買い物が終わっても雨がザーザー降ってるから引き続き雨宿り。だが、雨は止まないので、仕方なく歩き出すことに。国道を歩くこと1時間ほど。やっと海に出た! だが海は大荒れ。

大荒れの日本海!
きれいな海が見たかった…としょんぼりしつつ、仕方なく歩いていくと、海から離れて田んぼ道になっていく。「この道で合っているのかな?」と、地図を見ながら進む。山陰ジオパークトレイルの標識も何もないので、とりあえず田んぼ道と国道を歩いて、峠をひとつ越えた。そしたら今日の宿泊地である「青島」の文字が看板に出てきたので、少し安堵した。
今日の宿泊地は湖に浮かぶ青島にあるキャンプ場。季節的なこともあり、誰もいないし、めちゃくちゃ寒かった!

キャンプ場のあった青島。すごく寒かった!
海はどこですか⁉︎
2日目は青島から鳥取砂丘へ。「やっと海に会えるぞ‼︎」と思っていた矢先、最初に通るのは鳥取駅。「都会だー。マックだー」と思いながら進む。ここから鳥取城跡を登り詰めた先に、ジオパークトレイルが続いているらしい。だけど、道が分からない。鳥取城スタッフに聞いても分からない。
近くにいたおじさんに聞いてみると、「たぶんあった」と教えてくれた。ただ、私の今日の行き先が鳥取砂丘近くのキャンプ場であることを聞くと「絶対に遠いから止めときなさい」と止められる。「そんなに遠いのか?」とビビりつつ出発。
おじさんに聞いた道順で里山を歩いていく。そしてついに初めて山陰ジオパークトレイルの印を見つけて安心した。私は山陰ジオパークトレイルを歩いているんだ!

2日目にしてやっと見つけた山陰海岸ジオパークトレイルの印。ちゃんとジオパークトレイルを歩いてました!
ひとつ目の山セクションが終わり、次に続くトレイルを探す。国道はあるが、探しても探してもトレイルらしきものはなく、村も廃村寸前。誰もいない。ちらっと覗いたお店のカレンダーは2018年だった。でもまだ生活感があって、人だけが消えたような不思議な村だった。
道が見つけられなかったので地図アプリで調べると、このまま国道を進んでいけば良いことが分かった。時間も節約され、それならとクルマの来ない道の真ん中でテントを乾かし、お昼にした。

とりあえず、時間に余裕ができたのでテントを乾かしながらお昼。
そこからずーっと山の中の国道を歩いて、17時に今日の宿泊地である鳥取砂丘近くのキャンプ場に到着。道中は「海はどこですか?」というくらい山に囲まれた道のりだった。
やっと出逢えたね! 海!
3日目。今日は、鳥取砂丘から鳥取を抜け、兵庫県に入る予定だ。
歩き始めて「やっと砂丘だ‼︎」と思っても、「これは砂丘? いやただの砂浜?」と、私には区別がつかない。

ここは鳥取砂丘です⁉︎
地面が春の雪山みたいなクラスト状(雪の表面が溶けて固まり、その下に柔らかい雪がある状態)になっている。砂丘の下りも雪山の斜面みたいで面白かった。ここで雪板できんじゃね?(出発の前日に新しい雪板が届いたのです)と思いつつ進む。
このまま砂丘が続くのかと思ったら、サクッと国道に出される。仕方なく国道を歩くことに。でも、どうしても砂丘を歩きたくて浜に下りるが、また戻されるを繰り返して諦める。

とりあえず、砂丘で写真を1枚。
次のセクションに着いてスタート地点を見つけたら、地元のおじいちゃんが「その道は絶対行ったらあかん‼︎ 猪と鹿に襲われるぞ」って。「え? そうなんですか⁉︎」と言いながら、おじいちゃんの昔話を聞くこと30分! もう行っても良いだろうと思ったら怒られた。
近道だと国道で行くことをすすめられたけど…。トレイルを諦めたふりをして、おじいちゃんがいなくなったら行こうと思ったけど、なかなかいなくならない。仕方ないから、おじいちゃんの言っていた国道を歩くことに。
国道を歩いていたら、釣り師のお兄さんがクルマを停めてくれて「どこまで行くの?」と声をかけてくれた。説明すると、「こんなとこ歩く人いないよ。乗っけてってあげる」とのこと。一瞬、「ん?」と悩んだが、これも何かのご縁と思い乗り込むことに。
そのお兄さんは鳥取が地元でずーっと鳥取に住んでいた。釣りが好きでよく釣りに行くらしい。そんなお兄さんのクルマにはたくさんの釣竿や釣り道具があり、穴場釣りスポットを何ヶ所も教えてくれた。
鳥取に引っ越したら、釣りが楽しめそうだ! 私は釣りも結構好きだったりする。
そして、お兄さんおすすめの山の上にある古い駅舎に連れてってもらった。最後にお兄さんがクマ鈴の代わりにと鈴をくれた。

釣り師のお兄さんがクマ鈴の代わりにくれた鈴。
そんなことをしていたらこの日の半分はクルマ移動になった。
ULハイキング研修中なのに、さすがに罪悪感を感じ、最後は自分で歩くことに。途中から入ったトレイルは、鹿のフンがたくさんあって「踏まずに歩く」という方が難しい量だった。あのおじいちゃんが言ってたことも大袈裟ではなかったんだな〜と思いながら、ケモノ臭のする荒れ果てすぎた道を歩く。
道というより土砂崩れの上を歩いてる。こうやって人が作ったものがまた自然に還るのかな? と、映画『もののけ姫』の最後を思い出した。
無事下山して17時頃、今日のキャンプ地である浜坂県民サンビーチキャンプ場に到着! 近くに温泉があるので行ってみたら、簡易宿舎がキャンプ地代より安かったので「こっちでも良くね?」と思いながら、「お風呂だー‼︎」とテンションが上がった。
その後テントを張って夜ご飯。火を起こすのがめんどくさくて、この日もポテトチップスとコーラ。いま振り返ってみると、この旅で反省すべき唯一の行動はこれだ!
夜ご飯をお菓子で済ませ、寝袋でゴロゴロしてたら、どこからか爆発音的なのが聞こえてくる。よく「どこでも寝れそう」と言われますが、実はめっちゃビビりです。内心、いや心の声だだ漏れで「何の爆発音ですか!!!」と叫びながら寝袋に潜り、耳栓をしても聞こえてくる爆発音を聞きながらウトウトしては起きてを繰り返し、朝を迎えた。
大雨、爆風も面白い!
4日目。今日は、浜坂県民サンビーチキャンプ場から休暇村竹野キャンプ場までの約60kmを歩く予定。
日にちの感覚がなくなっていたのか、日程の計算を間違えていて、今日は60km近く歩くことに。早起きをして歩く準備をしていたら、雨が降ってきた。
雨か〜と思いながら、頑張ると決めた日なので、「とりあえず気合いだけで行ってみよう!」と、ひたすらに峠を越えた。ここの山も荒れ果ててる。過去は道だったであろう土砂崩れした道。そして動物の糞だらけ。
人は一瞬で山を切り開いて街を作るけど、自然はゆっくりと人が作ったものを自然に還していく。自然ってすごいな。

本日の海は穏やかです!
いくつ駅を越えたかな? 似たような町、似たような駅。私の知っている兵庫県とはまた違う風景で、自分が今どこにいるのか不思議な感覚になりながら、無心で14時間、ずーっと歩いていたらやっと着いたよ! 本日のキャンプ地、休暇村竹野キャンプ場に!
夜から雨予報。日が暮れるにつれて風がだんだん強くなっていき、案の定、爆風と大雨に。テントは早々に雨が染み込み、あっという間にびしゃびしゃに。風が吹くたびにテントが揺れて、テント内に雨が降る。
「人生諦めが肝心」とばかりに現実逃避を決め込み、朝になったら考えようと寝袋に潜り込んで寝る。だが、全く寝れない。そんな時、私のインスタグラムを見ていた友達が心配して連絡をくれ、夜通し電話に付き合ってくれた。学生時代に戻ったようで面白い。途中起きてみると、寝袋もびちゃびちゃで考えるのも面倒なのでまた、現実逃避をする。
さて、旅も半ばで私の体に異変が。
毎晩夜ご飯を、寒いし、ひとりだしと、お湯を沸かすことすらめんどくさがり、ちゃんとしたご飯を食べず、ポテトチップスとコーラにしていたせいなのか…。何か食べると気持ち悪くなり、内臓が食べ物を受け付けなくなった。でも、本人は至って元気なのでまあ良いか…。
『城の崎にて』
5日目。今日は城崎温泉に向かい、温泉に入ったあとに人と会う予定だ。
昨日の夜の爆風と雨でほぼ寝ていない。案の定テントも寝袋もほとんどの物も、びちょびちょに。
そんなことよりも、昨日60kmも歩いた理由は、今日城崎温泉である人と待ち合わせをしていたから。そして城崎温泉は、学生の時に志賀直哉の『城の崎にて』を読んで以来、いつか行ってみたいと思っていた場所でもあった。13時に待ち合わせているので、早めに城崎温泉に行き、温泉巡りをしようと決めていたのだ!
国道と、里山と林道を組み合わせて10kmほど歩いて城崎温泉へ。外湯巡りをし、城崎温泉を散策。『城の崎にて』を読んで想像していた通りの街並みに感動。
そして、13時。待ち合わせをしていた人は私の師匠で、修理部の北島さんだ。北島さんは修理の経験もない私にイチから修理を教えてくれた修理部のリーダーなのです。
そして2024年の6月から、山と道が新しく工場を作っている豊岡に出向しているので、久々の再会になる!

久々に会った北島さんは相変わらず北島さんだった。
そして、このルートを選んだ時、山陰ジオパークトレイルから豊岡工場まで歩いていける距離だと知って寄ってみたいと思った。あらかじめ北島さんに豊岡工場に行くことを伝えていたのだ。そして工場に1泊できたら最高じゃんなんて考えていた。
そんなこんなで午前中は城崎温泉を満喫したあと、北島さんと合流して歩いて豊岡工場へ行くついでに、その途中にある北島さんおすすめの玄武洞へ寄って行くプランができたのだ。
玄武洞は国の天然記念物で、160万年前に行われた火山活動により、山頂から流れ出したマグマが冷えて固まる時に作り出した規則正しい六角形の溶岩が積みあがっていて、こんなに美しいものを自然は長い年月をかけて作るのかと驚いた。

めちゃくちゃ感動するので、ぜひ行ってみてほしい。
玄武洞から5km歩いた場所に山と道の豊岡工場があって、扉はやっぱり山と道ブルー。久々に見た山と道ブルーと山と道のロゴにものすごく感動した。

すごく感動している自分に気が付き、私は山と道が好きなんだな〜と。
そして、本日のキャンプ地は豊岡工場! なんと北島さんがストーブを出してくれた! 昨日びちゃびちゃになった道具たちを一気に乾かす。ふかふかの寝袋最高! 畳、屋根、ストーブもあって最高じゃん。
そして、久々のちゃんとしたご飯! 北島さんと奥さんのあみさんが鍋を用意してくれていた。久々の温かいごはん! 米がうまい! 暖まる! 最高な1日だった。

昨日の爆風と雨で、びしょびしょになったテントと寝袋を干せる喜び。ストーブの暖かさも嬉しかった。
ついに京都府にIN
6日目は豊岡工場からジオパークトレイルに復帰予定。そして今日からは京都府に入る。
このトレイルを歩いたことのある人に「京都府に入ると街の雰囲気が変わるよ」と聞いていたので、若干ワクワクしつつ、豊岡工場を後にする。朝が早かったので、北島さんたちとは前日の夜にお別れを済ました。今度は出張で不在だったスタッフの中川さんがいる時に来たいな。
山陰ジオパークトレイルに復帰するために、とりあえずひたすらに国道を歩く。国道で峠を越え、いつの間にか京都府に入っていた。なんとなく街の雰囲気が変わったような、海の雰囲気が少しだけ優しくなったような感じがした。

京都府にIN!!!
この日は海沿いの国道をずっと歩いていたけど、防風林で海が見えず、両サイドは草木がぼうぼうで景色変わらず、ただひたすら歩いた。
そして歩きながら、「このまま何も食べないのは良くない!」と唐突に思い、連絡をしたのは山と道でみんなのお昼ごはんを作ってくれている寒川さん。
毎日、ご飯を食べたり、食べなかったり、お菓子で済ませたり気の向くままの食生活をしていたら、流石に内臓が弱ったのか、体が食べ物を受け付けなくなっていた。そして、ほとんどジュースだけで過ごしている。ただ本人は至って元気なのだが。
さすがにこのまま何もご飯が食べられないのはやばいと、寒川さんに状況を説明すると「だし汁が良いよ」とのこと。出汁ならちょうど持っている。私はハイキングに行くとき、塩と出汁だけは毎回持っていく。食事の味が薄い時、ほっこりしたい時に出汁は重宝する。そして、今日からひたすらだし汁が夜ごはんに。
THE DAY
7日目。天気は晴天、海も綺麗、まさにTHE DAYだった日。
この旅も終盤。今日は最終キャンプ地のてんきてんき村オートキャンプ場に行く、25kmほどの旅。この日は本当に最高な日だった。
海も空もキラキラしていて、こんな日に歩くことができるなんて幸せものだなーとか思っていると、なんとゴロゴロ寝っ転がるのに良い浜辺を発見。なんとなく、急いでいるわけでもないしと、2時間ほどゴロゴロしてみた。

THE DAY.
私はずっと、住むなら海沿いの時間がゆったり流れる場所で生活をしたいと思っていて、ここまで歩いてきた鳥取、兵庫、京都の海沿いも候補地だ。
今回歩いてみて、海は比較的穏やかで、信楽焼のたぬきと椰子の木が一緒に家の前にあったり、海沿いの畑には適度に統一感のない花が植えてあったりと、このゆるい雰囲気が好きだった。
地元のアウトドア好きのおじさんが、「この辺のフィールドはそんなに開拓がされていないから、結構面白いところが多いよ」と言っていて、海でも山でも遊べるなんてと、すごく魅力的に感じる場所だった。
また歩き始めて進んでいると、ちらほら、ゴール地の経ケ岬が看板に出てきた。明日ゴールなんだなーと寂しくなりながら、今回の最後のキャンプ地てんきてんき村オートキャンプ場に到着。
最終日だよ! 帰りたくない‼︎
8日目。今日が最終日。あと20kmほど。てんきてんき村オートキャンプ場からゴールの経ヶ岬へ。
あー、今日でこの旅が終わってしまう。悲しいと思いながらテントと諸々を撤収。
このルートの計画を立てている時、コンクリートの上を歩くのが嫌いな私は、この旅を楽しむことができるのか疑問だった。
だけど、終わりが近づくにつれて、「マジで終わるのか! 帰りたくない。もっと歩いていたい」と楽しんでいる新しい自分に出会えた気がして面白かった。
何となく、きっとあれがゴールだろうと思う岬も見えてきて。
横を通るバスの終点がゴールの経ヶ岬だったり。
国道の青看板に経ヶ岬が出てきて、帰りに乗るバスのバス停が見えた。ここからあと1.5km。230kmを歩いてきたから看板を見た時、「ついにここまで来たんだな〜」と感じた。

もうすぐゴール…。悲しい。社会復帰なんかできない!
少し歩くと眺めが良い駐車場があり、そこから15分で経ヶ岬の灯台! そこから、ちょっとした山道になり、その先に白い灯台があってゴール‼︎
230km歩いてきたのかー‼︎ 終わってしまった。

着いちゃったよ! 経ヶ岬。
歩いている時は、時間も曜日の感覚も忘れて、ただひたすら歩くだけの時間が何よりも楽しかった。普段の生活と違う時間の流れ、日々明日はどんなことが起きるのか? と、全く知らない土地を歩くことにワクワクする、そんな時間がとてつもなく好きだった。
そんな時間が終わってしまうのが、すごく悲しく名残惜しかった。
8日間、ただただシンプルに歩く、食べる、テントを張り寝る。それだけで楽しくて、コンクリートの上を歩くのが苦手だったはずが、苦じゃなく、毎日ただ歩くだけ、天気が良いだけで幸せで、雨と爆風の日本海を見ても面白かった。地元のおじいちゃんに「鹿と猪に襲われるからその道は行っちゃダメ」と言われて他の道を探すのも、「マジか‼︎」と笑ってた。
普段いろいろなことを気にしながら生きていて、その「気にしているスイッチ」を1個ずつ切っていく感覚が面白く、楽しいこと、好きなこと、そこだけに向き合って、自分に「今何がしたいですか?」と聞く毎日。
自由にどこにでも行ける無敵な感じ。今回の旅で、新しい自分の感情と出会えた気がする。また、この気持ちを味わいたいと思った。今、自分は満たされていて、最高に幸せなことが分かった旅だった。
今回の反省点は、夜ご飯はちゃんと食べましょうということ。ポテトチップスとコーラだけはだめ!
GEAR LIST
BASE WEIGHT* : 4.17kg
*水・食料・燃料以外の装備を詰めたバックパックの総重量






YouTube
上杉とスタッフJKが旅の模様をYouTubeでも振り返りました。