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山と道JOURNAL編集後記

編集長三田が7つのトピックで振り返る2023

文/三田正明
2024.01.17
山と道JOURNAL編集後記

編集長三田が7つのトピックで振り返る2023

文/三田正明
2024.01.17

いつも山と道JOURNALSを読んでいただきありがとうございます。編集長の三田正明です。「編集長」とはいえ、「編集部」の実態があるのかないのかわからない状態がずっと続いていたJOURNALSですが、昨年2023年は協力してくれるスタッフも増え、山と道の新たな試みとして月刊特集が始まり、それに連動するコンテンツ作りが始まったことで、例年よりも多い61本の記事を公開することができました。

そこで今回は新春特別企画として、2023年に山と道JOURNALSで公開した記事を様々なトピックで振り返っていきたいと思います。いつも読んでくれている皆さんも、たまに読んでくれている皆さんも、これまでまったく読んだことがないという皆さんも、ぜひぜひお付き合いください。

トピック①
道具を「語る」記事

2023年、JOURNALSでダントツのPV数を叩き出したのが『THE BACKPACK TEST 2023 現行ULパックパック10種類を背負ってみた』前後編でした。自分が過去に作った『THE BACKPACK TEST 2018』の続編となる企画ですが、2018年版も当時ダントツのPV数を記録していましたので、皆さん、やっぱり道具の話が好きですねぇ。

2018年版では自分がひとりでテストして原稿にまとめたのですが、同じことを繰り返しても面白くないし、複数の視点を入れたかったので、今回は山と道開発スタッフの渡部、山と道材木座店長の前原と共にインプレッションして記事化する方式を取りました。おかげで前後編の長大な記事になりましたが、語りでなければフォローできないトピックも多く入れられました。また、メーカーである山と道のメディアで他メーカー様の競合するバックパックを語らせてもらうことに一抹の躊躇や炎上の不安もありましたが、概ね好意的な反応をいただけてホッとしました。

これに味をしめて、その後も山と道材木座で行ったハイカーズデポ土屋智哉さんを迎えての最新レインウェア事情を語るイベントを記事化したり、鎌倉と京都の直営店スタッフに推し道具を語ってもらう記事を作ったりと、トークを再構成して編集したページを多く作りました。これは音声コンテンツが隆盛なこの時代、文字コンテンツにも「語り」が求められているのでは? という思いの上ですが、作っていても、熱を持って語っている話を聞くのは、どんな人の話でも単純に面白いものだな〜と、改めて感じました。2024年も道具について山と道JOURNALSらしく語るページはもっと増やしていきたいです。

トピック②
山と道のエッセンスを凝縮した記事

個人的に、2023年にもっとも時間と労力をかけた記事が、「UL Hikeって何?」でした。以前から、お客さまにULハイキングの思想や哲学を実はうまく伝えられていないのでは? という懸念があり、山と道の考えるULのエッセンスを必要最低限シンプルに、誰にでもわかりやすく伝えられないかという思いで作り始めたのですが、何をもって必要最低限なのか、どこまでシンプルにできるのか、どうすれば誰にでも伝わるのかという試行錯誤が数ヶ月続きました。なので、山と道に興味を持たれる方にはまず絶対に読んでもらいたい! 一瞬で読めるので今すぐ読んで! 

ただ、実はこの思想編だけではなく、ULの方法論を可能な限りシンプルにまとめた実践編も準備中でして、記事としてはむしろそちらが本丸であると考えています。こちらも今春には公開予定ですので、公開されたら絶対読んで!

また「何?」シリーズとしてはレインウェアの必要最低限知っておいてほしい情報をまとめた「レインウェアてなんだ」も公開しました。こちらも初心者には中々わかりにくいレインウェアの世界を可能な限りわかりやすくまとめたつもりですので、レインウェア選びに迷う人はぜひチェックしてください。

トピック③
月刊特集連動記事

2023年は前述の通り、新たに始まった月刊特集に因んだ記事も多く作成しました。まず4月の特集「ULハイキング」では、自分が2017年に雑誌ワンダーフォーゲル(山と渓谷社)で発表した「日本UL&ガレージメーカー史概論(2000~2016)を再構成して公開。ちょっと古い記事ですが、手前味噌ながらこの文化がどのように始まり、どのように発展してきたのかがよくわかる内容ですので、最近ULハイキングに目覚めた人にはぜひ読んでほしいです。そして5月〜10月の特集では先に挙げたバックパックやレインウェア、推し道具の記事を公開。

そして11月の特集「雪山へようこそ」では代表の夏目、”UL Ski Hiker”野上健吾さんなど、雪山ラバーズの山道具を詳細に紹介。さらに12月の特集「ロングトレイル」では日本のロングトレイル68本(!)と世界のロングトレイル150本(‼️︎)を紹介する記事を公開して大きな反響がありました。これらについて自分は編集担当で執筆はしていないのですが、確認作業だけでもとんでもない手間で、執筆を担当してくれた中島英摩さんの馬力あってこそ完成できた記事でした。英摩さん労作お疲れ様でした! 

トピック④
HLC Reportの本格始動

2022年末から始めた新たな試みとして、山と道HLCの活動を毎月の振り返り記事よりもディープに振り返るシリーズ連載、『HLC Report』があります。実はこの連載、自分の中の裏テーマとして「実験」があり、プログラム参加者の皆さんが書いてくれたインスタグラム投稿を再構成して記事化したり、トークショーを再構成する形で記事化したり、イラストルポとしてまとめたり、HLC四国のプログラムを伊予弁でレポートしてもらったりと、毎度様々な手法を試みてます。また、さらに新たな試みとして、HLCでも最も挑戦的なハイキングを行うプログラム「ULハイキングプラクティス」の模様を主に動画で振り返る記事も作成しました。

ただ、忙しさにかまけて取り上げたかったプログラムの取りこぼしも多かった(反省!)ので、2024年はさらに多くのHLC Reportを毎度実験しつつお送りしていきたいと思っています。

トピック⑤
山と道のあゆみを伝える記事

2023年も実に様々なことのあった山と道。働いている実感としても暴走機関車に乗っているようで、とりあえずは退屈せずに日々過ごしています。そんな山と道の歩みを記録するページを今年も作りました。

まずひとつ目は、5月にオープンした新たな直営店「山と道京都」ができるまでを、代表の夏目自身が書き下ろしたレポート『始まりがあれば終わりもある。山食音の終わりと山と道京都の始まりについて』。たくさんの方々の尽力でようやく完成したお店の内幕を、熱量いっぱいに伝えました。

そして昨年、実に4年ぶりの開催が実現した『山道祭』を、動画と写真と参加者の皆さんのインスタグラム投稿でレポートした『4年ぶりの奇跡 山道祭2023-四国石鎚山-』。山と道の撮影モデルとしてもお馴染みの藤山誠さんによる感動的な動画と、とにかく素晴らしい天気と皆さんの笑顔が印象的な写真、そして思いのこもった投稿の数々で、まさに奇跡のようだった1日を振り返りました。

また、毎年作成している製品ページ撮影のギャラリーページも作成。実はこの撮影も自分が担当しているのですが(『The light of Yakushima II』では写真家・中村力也さんも撮影)、ギャラリーページ作成はいちばん好き勝手できる自分にとってはご褒美のような仕事なので、ぜひ、大きな画面で見てくれたら嬉しいです。

トピック⑥
コックさんがわ連載

個人的に前々からずっと問題と思っていたことが、山と道JOURNALSには「食」にまつわる記事がまったくない! ということ。でも、食に関しては社内に絶好の人材がいるじゃん! と、鎌倉の山と道オフィスで社員食堂コックを勤めている寒川奏の新たな連載『コックさんがわのピクニッキング記』もスタートしました。

山と道のインスタグラムをチェックしてくれている方なら、彼女の作る独創的な料理の数々をご存知かもしれません。とにかくおいしいものを、気持ちの良い場所で、大好きな人と食べること……つまりピクニックをすることについて綴るこの連載。イラストレーターとしても活動する彼女だけに、毎回楽しいイラストと共にピクニックフードのレシピも掲載するサービス満点な内容ですので、ぜひ山で再現してくださいね。

トピック⑦
ULハイキング研修と山と道トレイルログ

そして2024年に向けて動きが活発になりそうなのがスタッフの山行記を紹介する「山と道トレイルログ」。というのも、2023年からスタートした「ULハイキング研修」という社内制度……つまりスタッフは年に最低一度は長いハイキングに仕事(研修)として行き、そのレポートを上げる(研修ですので!)ことが義務付けられたため、これからスタッフたちのトレイルログがどんどん上がっていく予定なのです。

その第1弾として公開されたのが山と道材木座新人スタッフ「おでん君」こと横井の「自作タープで信越トレイル〜あまとみトレイルへ行ってみた」。UL初心者ながら覚えたてのULスピリットを発揮し、勢い余ってタープやサコッシュを自作して向かった初めてのロングトレイル紀行、ぜひ生暖かい目で見守ってもらえたら幸いです。

トレイルログでは他にもスタッフ木村が新婚旅行で向かったニュージーランドでのハネムーンハイキングの模様を奥様のなほ美さんと木村、それぞれの目線で綴ったこちらもある種の実験的な手法でアップした他、毎年スタッフ数名が参加しているOMM JAPANの参戦記も2022年大会はコック寒川が、2023年大会は京都スタッフのジョージがそれぞれアップ。ふたりともイラストレーターとしての顔も持つだけに、表現方法の違いをぜひ比べてみてください。

2023年山と道JOURNALSアクセス数トップ10

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。最後は振り返り企画らしく、2023年の山と道JOURNALSのアクセス数トップ10を大発表して〆させていただきたいと思います。

そして最後の最後になりますが、このページにも並んだJOURNALSのトップ画像の多くをデザインしてくれているのは、台北で暮らす台湾人ながら奥様が日本人で日本語もペラペラのKOH BODYさん。ポップでやさしくユーモアのあるセンスで、JOURNALSのイメージを大いに底上げしてくれています。いつも本当にありがとー!

2024年は山と道ウェブサイトの大幅リニューアルを計画しており、JOURNALSのページ構成も大きく変わってゆく他、さらに発信の本数を増やし、これまであまり取り扱ってこれなかった人物や文化にフォーカスした記事も作っていく予定です。ともあれ、まずは一本一本の記事に全力で取り組んでいきますので、2024年も引き続きのご愛顧を、どうぞよろしくお願い致します。

三田 正明

三田 正明

フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。