2022年秋に行ったフォトシューティングの模様をお届けします。
撮影地は、これまでも撮影で何度も通っている北海道の大雪山系。黒岳から旭岳までをテントを担いで縦走しながら、大雪山核心部の、時に言葉を失うような絶景の中を旅するハイカーたちの姿を写真に収めました。
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大雪山系にはこれまでも2度山と道の撮影で訪れたことがあったが、1度目は旭岳ロープウェイからその山頂までしか行けず、2度目などはロープウェイ駅から山頂まで登っている途中に雷雨に襲われ、あえなく撤退の憂き目にあうことになった(Daisetsuzan / Niseko Photo Gallery 2021はそうした状況で撮影していた)。
そして3度目の大雪山である。今回は撮影隊をコンパクトにして、大雪山を実際にテントを担いで縦走しながら撮影を行うことになった。しかも大雪山系は旭川空港から非常に近いお陰で、羽田空港からの朝いちばんの飛行機に乗れば、なんと黒岳〜旭岳を縦走しても1泊2日で帰ってくることができるのだ。
旭川空港から大型タクシーに乗り込み、1時間半ほどで層雲峡の黒岳ロープウェイ駅に到着した。そこからロープウェイとリフトを乗り継ぎ、登山口に到着してもまだ11時30分だった。
気持ちがふわふわしたまま登山道を登る。今朝は自分のベッドで目覚めたのに、いまは北海道の大雪山にいるのだから当然だ。改めて現代文明の凄まじさを思う。
小一時間ほどで黒岳山頂に到着すると、どこまでも大雪山系の山々が見渡せて、やっと実感が湧いてきた。頂上から10分ほどの黒岳石室のキャンプサイトにテントを設営した後、北海岳方面へと足を伸ばして撮影することにした。
それにしても大雪山は絶景の連続で、尾根を登った向こうにも谷を下った先にも、あっちにもこっちにも絵になる場所がすぐ見つかる。しかも天気も快晴で、僕は嬉しいどころか逆にプレッシャーを感じるほどだった。これでは写真の上がりがイマイチなら、完全に自分の責任ではないか! 無我夢中でシャッターを切りまくっていると、たった1時間ほどで最高の写真が何枚も撮れた。
2日目は夜明け前から行動を開始した。この日も歩みを進めるごとに次から次へと言葉を失う場面が現れ、もはや絶景のハイパーインフレ状態に突入していた。少年マンガでどんどん強いボスキャラが出てきて強さの基準がわからなくなっているような、あの感じ。このままでは絶景不感症になってしまいそうだ。
こうして朝食の前に、我々はたくさんの仕事を成し遂げた。まさに朝メシ前に! 昼には旭岳の山頂に到着し、振り返ると数年前に初めて登頂した時と同じ景色が広がっていた。あらためて僕は、これまで大雪山のほんの入り口しか知らなかったことを痛感した。
そして僕は家に帰り、その旅で撮影した膨大な写真を何度も何度も山と道の製品ページのために現像して、半年後のいま、ようやくこうしてギャラリーとしてまとめることができた。いま思い返しても、こうして写真を見返しても、たった2日間とは思えない濃密で不思議な旅だった。
Photographer: Masaaki Mita
Model:
Naomi Kazama
Hidenori Maehara
Shiori Maehara
Production Manager: Yuma Shimoyama
Director: Akira Natsume