誰にでもある、思い出の道具やどうしても捨てられない道具、ずっと使い続けている道具。
この『HIKERS’ CLASSICS』は、山と道がいつも刺激を受けているハイカーやランナー、アスリートの方々に、それぞれの「クラシック(古典・名作)」と呼べる山道具を語っていただくリレー連載ですが、数回に渡って『山と道HLC』のアンバサダーを勤めていただいている方々のCLASSICSを紹介していきます。
第11回目となる今回の寄稿者は、幼い頃から四国の大自然の中で遊び、就職したアウトドアショップで山、川、海とアクティビティーの幅は広げ、現在は四国松山のアウトドアショップ『T-mountain』代表として、地元に根付いたお店を作りながら、四国の山の魅力を発信し続ける、菅野哲さんです。
愛着のある道具はお守りのような感覚になっているという菅野さんのCLASSICSとは?
NOTE
海、山、川、全部好き
小学生の頃から、カヌーで四万十川を海までキャンプしながら下るような家庭で育ったので、山登りを始めたのも自然な流れでした。
近所の友達ファミリーとわいわいグループ登山もしてましたし、18歳の頃に白馬のロッジに居候したこともいい思い出です。アウトドアショップに就職してからはますますアクティビティーの幅が広がり、いまは海の遊び、山の遊び、川の遊び、全部好きです。
勤務中、担当は雪山登山やクライミングや海外登山で、お客様と4~5日間の縦走登山をよく企画してました。松山にT-mountainを開店してからは地元の山の良さを改めて認識し、いまはその魅力の発信にも努めています。
ネパール/エベレスト街道にてタムセルクをバックに、同い年のラクパシェルパと。
愛着のある道具、お守りのような道具
地元、西日本最高峰・石鎚山/北壁の冬季登攀。
おっさんなので登山歴がそこそこ長く、いろんな山でいろいろ遊んできました。「シリセード」中に肛門に何かが刺さって病院に行ったり、霊峰・石鎚山の土砂降りの山頂で修験者の方に「若いもんがカッパなんか着るな!」って怒られたり、初めての沢登りで残置ロープが切れて谷底まで落ちたが背負っていたザックのおかげで助かったり、山の師匠に「山男ならピッケル1本でも雪洞が掘れんといかん」って教えられていたおかげで、ブリザードのスイスアルプスで助かったり、山での面白いエピソードには事欠きません。
地元、西日本最高峰・石鎚山 / 『T-mountain』のイベント、雪山登山講習にて。
山の道具もあれこれ使い、処分したものも多いですが、捨てられない一品や、これからも一生大切に使っていきたいものも多くあります。近年、軽量化も進んでいますが、やっぱり愛着があるものは多少重くても選んでしまいますし、自分の山の歴史とともに、お守りのような感覚になっている道具もあります。たとえば、山で美味しいコーヒーを飲むために、グラインダーは譲れません(笑)。
最軽量にこだわるのではなく、自分のスタイルの中で使いやすい軽量化を好んでいます。